MITの最新の「Mini Cheetah」がほかと異なるのは、アプローチの仕方だ。MITの過去の「Cheetah 3」やMini Cheetahは、人間のエンジニアたちによって設計されたアジャイルランニングコントローラーを使用していた。エンジニアたちは、移動の際の物理的現象を分析して、不足していた抽象概念を定式化し、特殊なコントローラーの階層構造を実装することで、ロボットがバランスを取りながら走れるようにした。これは、Boston Dynamicsのロボット「Spot」が動作する原理と同じである。
最新のMini Cheetahのシステムでは体験のモデルを利用して、リアルタイムで学習する。Mini Cheetahは、自らの単純なニューラルネットワークをシミュレーターで訓練することで、多様な地形に関する100日分の体験をわずか3時間で獲得できる。
MargolisさんとYangさんは、「われわれは、シミュレートされた体験に基づいてロボットの行動を改善するアプローチを開発した。重要なのは、このアプローチでは、学習した行動を現実の世界にうまく展開することも可能だということだ」と説明する。
「ロボットが現実世界でもランニングスキルを発揮できるという直感は、シュミレーターの中でロボットが体験する環境に、現実世界で役立つスキルを教えてくれるものが含まれているという事実から生まれたものだ。現実世界での運用においては、コントローラーが必要なスキルをその場で特定して実行する」
もちろん、ほかの優れた学術研究と同様、Mini Cheetahも最終的な製品ではなく、どちらかと言うと概念実証と開発作業である。ここで重要なのは、どれだけ効率的に、ロボットに現実の世界の対処をさせられるのか、ということだ。効率的な運用に、人間による監視と入力が必要なやりかたでは、普及させるのは難しいとMargolisさんとYangさんは指摘する。
簡単に言うと、手作業でのプログラミングは労働集約的であり、シミュレーションやニューラルネットワークがそれよりもはるかに速く仕事を遂行できるようになりつつあるということだ。過去数十年のハードウェアとセンサーが今になって潜在能力を最大限に発揮し始めており、ロボットたちが道ばたを歩く新時代の到来を告げている。
ことによると、走るかもしれないけれど。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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