米航空宇宙局(NASA)は、月面有人探査を目指す「アルテミス計画」の一環として、人類が月に長期滞在できる環境を整えたいと考えている。それには、発電、送電、蓄電という厄介な問題を解決しなければならない。
これは決して簡単なことではない。月の夜は350時間続くため、現在の太陽光発電の仕組みでは、最小限の効果しか得られない。NASAが必要としているのは、電力を継続的に安定供給することで、月面での人の居住をサポートできる電力システムだ。それには、豊富な知識を持つエンジニアやホビイストの支援が必要になる。
NASAがクラウドソーシングサイト「HeroX」で開催しているコンペティション「Watts on the Moon Challenge」では、最新フェーズ(フェーズ2)でも引き続きこの問題を解決するアイデアを募集している。巨額の開発予算が投じられ、テクノロジーの収束や高度化も進む時代に、NASAが企業や教育機関、一般市民など、宇宙とは縁遠いように思える人々から優れたアイデアを求めているという点で、この試みは興味深い。
フェーズ2では、送電とエネルギー貯蔵という2つの重要な分野に焦点を当てている。NASAは、遠隔地の発電源から送電して(極寒などの)極限状態で大きな負荷を支えられる手段を必要としている。この分野のソリューションには、有線のほかに、ますます魅力が高まっている無線のエネルギー伝送を利用することもできる。
送電の問題に加えて、NASAは宇宙の極寒環境に耐え、発電が不可能な場合も居住をサポートできるエネルギー貯蔵技術も必要としている。
フェーズ2では1~3までのレベル別の選考過程がある。参加者は各レベルで審査を受け、合格すれば次のレベルに進むことができる。選考の結果次第で、最大で17の参加者に最大450万ドル(約5億2000万円)の賞金が授与される。選考には、18歳以上の米国民か米国永住権を持つ人なら誰でも参加できる。団体の場合は、米国で設立され現在も本拠地を米国に置いていることなどが条件となる。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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