米航空宇宙局(NASA)が新しい種類の航空機に資金を投じている。それは可動部品がまったくない推進システムで飛ぶ航空機だ。
NASAは、「NASA Innovative Advanced Concepts(NIAC)」プログラムを通じて、初期段階にある実験的な未来の技術の研究に資金を拠出している。2月に発表されたNIACフェロー最新メンバーの1人でマサチューセッツ工科大学(MIT)の航空宇宙工学教授であるSteven Barrett氏は、静音性の高い固体推進システムの飛行機に長年取り組んできた。
Barrett氏とMIT Electric Aircraft Initiativeは2018年、学術誌「Nature」にこの技術に関する論文を発表した。このとき開発された小型飛行機には回転翼やプロペラは使われていない。翼の下に並べた複数の電極が高圧の電界を生み出し、大気中の窒素分子をイオン化して加速させ、機体を前方に進めるという仕組みだ。実際に飛んでいる様子は、Barrett氏による詳細な説明とともに動画で見ることができる。
Barrett氏はこの時の声明で、「役に立つミッションを実行できる航空機の完成までには、まだ相当の道のりがある」と述べていた。
いわゆる電気空気力学推進システムは、対応できる高度と航空機のサイズに限界がある。そこでBarrett氏は、都市部を電動で飛ぶ小型の垂直離着陸機(VTOL)にこの技術を使うのが最善ではないかと考えるようになった。
Barrett氏のチームは、NIACのフェーズ1の資金として17万5000ドル(約2030万円)を受け取り、9カ月をかけてこの技術を開発する。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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