ロシアのウクライナ侵攻を非難する欧米諸国に対して、脅迫的な言動で怒りを表し続けているロシア宇宙機関のトップが、今度は人工衛星の打ち上げを拒否すると通告した。
ロシアで宇宙事業を手がける国有企業のRoscosmosを率いるDmitry Rogozin氏は現地時間3月2日、ロシアの宇宙船「Soyuz」による米衛星通信企業OneWebのブロードバンドインターネット通信衛星の打ち上げ計画について、これを中断すると述べた。株主である英国政府がOneWebの株を売却し、OneWebの衛星群が軍事目的に利用されないことを同社が保証しない限り、計画を再開することはないという。
英国政府は2020年、インドの大手通信企業Bharti Globalと組んで、当時財政難に見舞われていたOneWebを買収した。OneWebはこれまでいくつかの失敗を重ねてきたが、今はElon Musk氏率いるStarlinkのライバルとなるようなサービスの提供を目指している。
Rogozin氏の発言の前には、SpaceXの最高経営責任者(CEO)を務めるElon Musk氏が、同社の衛星インターネットサービス「Starlink」をウクライナで利用できるようにしたと述べ、さらに追加の通信用機器を同国に輸送中であることを明らかにしていた。
ロシアの国営通信社TASSは、Rogozin氏がロシアのテレビ番組で次のように発言したことを伝えている。「このような状況下で、英国政府を支配株主とするOneWebがどのように行動するかという点について、深刻に懸念している」
実際には同社の筆頭株主はBharti Globalで、英国政府が最大の出資者というわけではない。フランスの通信衛星事業者Eutelsatや、ソフトバンクも多くの株式を保有している。
さらにロシアは、フランス領ギアナの宇宙港におけるSoyuzの打ち上げも停止している。
Rogozin氏はOneWebからの回答期限を3月4日に設定し、それまでに回答がなければ「ロケットは打ち上げから外され、衛星は組立試験棟に送られる」とした。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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