ASMRの認知を広めたい--声優・小岩井ことりさんに聞く「kotoneiro」のこだわりと狙い

佐藤和也 (編集部) 西中悠基 (編集部)2022年02月23日 09時00分

 ここ数年で盛り上がりを見せている「ASMR」。「Autonomous Sensory Meridian Response」の略称となっており、人が聴覚や視覚への刺激によって感じる心地良い、ないしは頭がゾワゾワするといった反応や感覚のことを表している。現状では、この感覚を得られる音源がリラックスできる音、集中できる音として認識されており、環境音や咀嚼音といったものから、ささやきボイスといったものまで幅広いASMRコンテンツが存在し、動画サイトなどを中心に人気を集めている。

 ASMRにおいては、さまざまなストリーマーや団体が取り組んでいるなかで、声優として活動している小岩井ことりさんが自らプロデュースしている音声レーベル「kotoneiro」(ことねいろ)がある。

小岩井ことりさん
小岩井ことりさん

 小岩井さんは「のんのんびより」の宮内れんげ役や、「アイドルマスター ミリオンライブ!シアターデイズ」の天空橋朋花役をはじめとして、さまざまなアニメやゲームで声優を担当。またイヤフォンやヘッドフォンなどにも造詣が深く、自他ともに認めるオーディオマニア。さらにDTM(デスクトップミュージック)にも親しみ、MIDI検定1級を所持。作曲や作詞も手掛けるマルチクリエーターの一面も持っている。

 kotoneiroは、2020年10月に立ち上げられたもの。小岩井さんが今まで培ってきた声優としての活動やオーディオ好きとしてのこだわり、音響技術を駆使したASMRボイスドラマなど提供。さまざまな“お仕事”をテーマとした「おしごとねいろ」を中心として展開しており、「DLsite」にて販売している。

 今回は小岩井さんに、kotoneiroのことを中心に、PCに親しむようになったきっかけなども含めて話を聞いた。

幼少期に「これからの就職活動にも必要だから」と言って買ってもらったPC

――小岩井さんは、早い段階からPCを触っていたというお話を伺ったのですが、どのぐらいの時期から触っていたでしょうか。

 小学生になるかならないかぐらいの、小さいときから親しんでました。それよりも前から、親戚の家でPCを触っていたようで、興味があったらしいです。それで親に「これからの就職活動にも必要だから」と言って、買ってもらったようです。私は覚えてないんですけど(笑)。

――そのぐらいの年齢だと、明確に欲しいという動機以前に、気が付いたら親しんでいたという感覚ですね。

 PCはロマンのあるもの、というのはなんとなくテレビやまわりの人の話で影響を受けていたのかな、と感じてます。知らない人にお話を聞くことができたり、見たことのない物を見ることができるということはなんとなく知っていたように記憶しているので、それを是非体験したいと思ってPCを買ってもらったんだと思います。

 それからいろんなゲームをしたり、交流をしたり……と活用してました。特に中学生のときはネットゲームにハマりまくって、ずっと遊んでました。

――PCで音楽を作るようになったのも、学生時代からですか。

 そうです。小さいときに少しだけピアノを習っていたり、学生時代は吹奏楽部に所属してました。音楽は楽しいと感じていて、その延長で曲も作りたいと思ったんです。でも、どう作ったらいいのかわからないし、学生だったので、とりあえずフリーソフトを使って作ってました。吹奏楽部で演奏するための曲を作った事もあります。

 当時はまだ本格的なものではなく、遊びの感覚でした。そのあとも音楽作りを趣味の範囲で楽しんでいたのですが、声優としての活動を始めるころから、声優の勉強として声を収録する機材を整えていったら、作曲の機材に近しいものがそろっていったんです。機材に付属された体験版のソフトを触っているうちにどんどんのめり込んで、そこから本格的な作曲をしはじめました。

――小岩井さんは声優としての勉強をするなかで、PCで波形を見ていたというエピソードがあると伺ってます。

 私は、声優の養成所には行ってないんです。単発的なレッスンは受けつつも、ほぼ独学に近い状態でした。そんな状況で声のお芝居をしてみても、私はみんなと何かが違うと。違うから下手っぽく聞こえてしまうと感じることがあって、どうやって勉強したらいいかを考えたんです。そのときに、声の波形や周波数帯を見ることができるソフトがあって。それを活用して、どのぐらいどのように違うのかを研究しました。

 前から音声を収録するソフトで波形が動いているのを見ていて、何を示しているのかはよくわからなくても、なんとなく楽しいと感じていたんです。それで、行き詰まりを感じてきたときに声の分析をしてみようと。それがきっかけですね。

 「音の高さ」「音の大きさ」「音の音色」という、音の三要素があるんですけど、これを全く同じにしたら、同じようにできるんじゃないかと考えたこともあったんです。実際、数字上はかなり近いところまでいったものもあるんですが、やはり何かが違うんです。それはきっと感情なんだろうなと考えると、研究のしがいがあるテーマではないかと。それから声優の仕事と勉強を通じて考えてみて……を繰り返して、今にいたってます。

――ヘッドホンも好きで、かなりの数を保有しているそうですが。

 ずっと好きではあったし、カタログや雑誌を見てて「いいな……」とは思っていたのですが、駆け出しのときはお金が無くて、なかなか手が出なかったのです。声優のお仕事が増えて、自由に使えるお金が増えてから購入しはじめたんです。

 ある企画で80個ほど並べて数えたところまでは覚えているのですけど、おそらく今は100個は確実に超えてますね。私にとっては“どれも違ってどれもいい”という考えです。音は当然のこと、装着感、見た目、機能も含めてみんな違ってて、それぞれに良さがあります。好きが講じて、ポタフェス(※イヤホン、ヘッドホン、オーディオ機器の大型体験イベント)のイメージアーティストなど、オーディオのお祭りに関わることができるようになったのも嬉しかったです。

――小岩井さんの、音に対するこだわりの根底にあるものは、どういうものだと思いますか。

 一言で行ってしまえば好きだから、だと思います。高校生ぐらいまでに、今お話ししたPCや音楽以外のことも含めていろんなことを経験したんです。そのなかで、一番楽しかったのが音や声に関わることでした。耳の不自由な方に向けて本を読むというボランティア的なこともしたんですけど、それが楽しくて。このときに、音に関わるお仕事をやりたいと。根本的に好きだったということに気づいたことが、今に至るきっかけなのかなと感じてます。

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