凸版印刷は2月18日、生成されたアバターの唯一性を証明するアバター生成管理基盤「AVATECT(アバテクト)」を開発したと発表した。2月から試験提供を開始する。
AVATECTは、アバター本体の管理や本人認証に加え、アバターにNFT(Non-Fungible Token:非代替性トークン)や電子透かしを付与するサービス。これにより、アバターの不正利用やなりすましを抑止し、メタバースでのプライバシーや著作権の保護を実現する。
近年、AIによる画像や3Dオブジェクトの生成技術が急速に発展。本人に酷似したアバターが簡単に生成できるようになり、メタバース市場への関心が高まっている。
一方で、本人の許可や確認のない撮像などによりアバターが生成されてしまう危険性や、アバターのなりすまし、不正利用などがメタバース普及の大きな課題になっている。
同時に、メタバースにおけるアバターの行動に対する倫理規定が進んでおらず、ディープフェイク技術で画像の顔を書き替える「ディープフェイク犯罪」のようなリスクが生じる危険性もある。
そこで同社では、メタバース普及に伴うセキュリティリスクを低減させるために、アバターの出自や所有者情報を管理すると同時に、NFTや電子透かしで、アバターの唯一性、真正性を証明できるアバター生成管理基盤となるAVATECTを開発した。
AVATECTは、アバターを生成した際に「モデル情報(氏名、身体的特徴、元となる顔写真など)」「モデルが当該アバター生成に対して許諾しているか(オプトイン)の情報」「アバター生成者(もしくは生成ソフトウェア、サービス)情報」「アバター生成日時情報」「現在のアバター利用権情報」などを、メタ情報として記録。「アバター生成管理基盤」に、アバター本体とメタ情報を紐づけて保管できる。
また、生成したアバターをNFT化して、アバターに唯一性を示す情報を付与する。NFT化だけではアバターの不正コピーや二次加工を防止することはできないため、目視では判別できない情報である「電子透かし」を埋め込み、オリジナルかコピーされたものかを判別できるようにし、アバターの真正性を証明する。
加えて、2022年度にアバターの本人認証機能を実装する。同社が提供する「本人確認アプリ」との連携で実現するもので、これによりアバターの登録やメタバースへのアバターのアップロードロード権限を、本人確認した利用者のみに限定できるようになる。
将来的には、メタバース内で提供される会員入会申込みやオンライン決済のような本人確認が必要なサービスにおいて、サービス事業者は本人確認書類の確認プロセスを経ずに、サービスが提供できるようになるという。
同社では、1枚の写真から自身のリアルな3Dアバターを自動生成できるサービス「MetaCloneアバター」や、構築したメタバースの中でさまざまなビジネスを行う事業者などに向けてAVATECTの試験提供を開始。複数のメタバース事業者間における同一アバターの行動分析や、それに伴うプライバシー保護の有用性の検証を経て、9月までにアバター管理事業を開始する方針。
また、2025年度までにメタバース関連事業として100億円の売り上げを目指す。
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