パナソニックが、2025年年日本国際博覧会(大阪・関西万博)のパビリオン出展に内定した。
パナソニックでは、2021年6月に、全社横断の万博推進委員会を立ち上げ、コンセプト、技術、渉外・営業の3つの部会を設置。未来からのバックキャスティングによるコンセプトづくりを進めてきた。今回の決定を受けて、今後、熟議を重ね、コンセプトを磨き上げるとともに、2022年6月には基本設計を開始し、その後、実施設計を進める予定だ。2023年4月には万博会場での区画引き渡しが行われることになるという。
パナソニック 関西渉外・万博担当参与の小川理子氏は、内定が決定したことに対して、「緊張感を持って受け止めている」とし、「パナソニックは、大阪で生まれ、育ててもらった企業として、新たな大義の万博にどう向き合うのかを考え、サステナビリティやウェルビーイングの価値を、社会にどう示せるかを考えてきた。万博では、パビリオン出展のほか、テーマ事業への協賛、未来ショーケースへの参加などが用意されているが、さまざまなところに協賛するよりも、パピリオン出展という目標を掲げ、新たな時代の新たな万博において、新たなパビリオンの概念を具体化するのが相応しいと考えた。パナソニックは、従来的なパビリオンの発想を超えた多様な価値を包含した場の実現に向けて準備を進めていく。創業の地である大阪・関西で、55年ぶりに開催される万博の成功に、出展を通して貢献していく」と述べた。
パナソニックの小川氏は、2018年11月にパリで行われた博覧会国際事務局総会において、サプライズプレゼンテーターとして、当時の世耕弘成経産相に続いて登場。パナソニックが、ソーラーランタンを約30カ国の無電化地域に寄贈するプロジェクトを実施してきたことを紹介。さらにジャズピアニストでもある小川氏がその場で演奏し、日本のプレゼンテーションの成功に貢献。大阪での開催が決定した経緯がある。
「文化多様性の時代に、地球規模の課題を解決することを目指す2025年の万博の開催国に日本が選ばれ、大阪が選ばれたことは、地球規模での社会課題を解決するという万博の大義と、大阪・関西万博の『いのち輝く未来社会のデザイン』のテーマに込められた意図を、しっかりと実践していく必要があるということである。いのちは最も多様なテーマである。これを輝かさせるにはどうしたらいいのか。未来に向けて挑戦していく姿勢を示す必要がある」とした。
続けて「パナソニックは、2022年にPanasonic GREEN IMPACT を発表し、社会のサステナビリティと、企業のサステナビリティを一致させ、長期的視点で、サステナビリティ経営を加速していく考えを示した。この考え方は万博後も持ち続けることになる。また、2022年4月には、事業会社制(持株会社制)へ移行し、パナソニックグループとして、『物と心が共に豊かな理想の社会の実現』を目指し、地球環境問題をはじめとする社会課題に正面から向き合い、その解決に貢献していくことを示した。このパナソニックグループの考え方を、グローバルに発信する場になることを期待している」と述べた。
公益社団法人2025年日本国際博覧会協会では、企業や団体などを対象にパビリオン出展参加者を募集。2021年9月16日~10月29日までの期間、大阪・関西万博の会場内にパビリオンを建設し、同万博の「いのち輝く未来社会のデザイン」というテーマに沿って工夫を凝らした展示や演出を行った内容を、パビリオン出展審査委員会により審査。政府と協議の上、13企業/団体を、パビリオン出展参加者に内定した。
出展が内定したのは、以下の13企業、団体となっている。飯田グループホールディングス、一般社団法人大阪外食産業協会、住友EXPO2025推進委員会、特定非営利活動法人ゼリ・ジャパン、玉山デジタルテック、電気事業連合会、一般社団法人日本ガス協会、NTT、バンダイナムコホールディングス、パソナグループ、パナソニック、三菱大阪・関西万博総合委員会、吉本興業ホールディングス。
なお、住友EXPO2025推進委員会には、三井住友銀行やNECなど、住友グループ19社で構成されている。
審査委員会では、「テーマに沿って深く考えられた提案や、参加者が当事者として主体的に参画できる仕組みの提案、地球規模の課題を、その背後にあるものを含めて考えさせるスケールの大きな企画、来たるべき未来と人類の可能性を展望する企画、一人ひとりがいのちを見つめ直す機会を提供する提案など、2025年の日本で開催する国際博覧会にふさわしい企画、計画が、企業や団体から出そろった。社会的責任や地球的規模での課題に真正面から向き合った提案が多数あり、民間パビリオンへの期待が膨らむ」としている。
また、「開幕まで間もなく3年。計画、設計、建設、展示準備を考えると、時間は限られている。2025年日本国際博覧会協会に対しては、出展参加する企業、団体との共創のプロセスを通じ、万全の準備で臨んでほしい」と要望した。
パナソニックでは、具体的な展示内容などについては、現時点では、明確にしていないが、アルファ世代(2010年以降に生まれた世代)をターゲットにした訴求を行いたいとした。
大阪出身である小川氏は、1970年に開催された大阪万博では、小学校低学年であり、5回以上、会場に足を運んだという。「きらきらと輝く未来を感じたことを強烈に覚えている。ワクワクしながらさまざまなことに触れ、いろいろなことを知り、海外の人を初めて見るということが原体験として残っている。また、パリで最終プレゼンテーションをしたときに、さまざまな人たちや社会の愛情に包まれていることを強烈に感じた。今度は、私たちが、大人の責任として、次世代を担う子供たちに夢を描いてもらえるようなものにしなくてはいけないと考えた」と前置きし、「アルファ世代には、パナソニックのパピリオンに行くと、楽しく、ワクワクし、夢や希望を持てるような体験をしてもらいたい」とした。
1970年の大阪万博では、パナソニックが5000年後に向けたタイムカプセルを埋めたが、「1970年はデジタルがない時代であり、当時のモノをカプセルに詰めた。リアルとバーチャルが相互連携するいまの時代のタイムカプセルとはなにか、ということを考えたら面白いかもしれない」とも述べた。
また、「創業者である松下幸之助は、『天分を生かす』という言葉を使っていたが、これは、万博のテーマである、一人ひとりのいのちを輝かせるということにつながる。天分というのは、特別な才能よりも、一人ひとりが持つ創造性や個性を発揮し、生きていることの幸せにつながるという根源的なものである。地球や自然から得たものによって、天分を輝かせ、それをまた地球や自然に返すことができる。生きるエネルギーが回り続けるイメージで、パビリオンを考えたい」と述べた。
さらに「地球規模の環境問題は真摯に考えていく場になる。これは必須である。万博会場は半年間の会期が終わると更地に戻す。サーキュラーエコノミーやリユース、RE100を捉えたアプローチも考える必要がある」とも述べた。
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