ソニーAI、人工知能「GTソフィー」を披露--「グランツーリスモ」で人間に勝利

Stephen Shankland (CNET News) 翻訳校正: 編集部2022年02月10日 10時02分

 ソニーAIは2月10日、2年がかりで訓練してきた人工知能(AI)が、「グランツーリスモSPORT」で世界トップレベルの人間のドライバーに勝利する水準に達したことを明らかにした。ポリフォニー・デジタルが開発した「グランツーリスモSPORT」は、リアルなカーレーシングゲームとして人気だ。

グランツーリスモSPORT
提供:Sony AI; Screenshot by Stephen Shankland/CNET

 「グランツーリスモ・ソフィー(GTソフィー)」と名付けられたこのAIは、2021年7月に開催されたレースイベントでは、コース上に他の車が存在しない状態でのタイムトライアルでのみ人間に勝利するレベルだった。しかし同年10月には、仮想的なレースカーがコース上にひしめく状態でも人間に勝利したという。

 GTソフィーは、人間の知能が求められる領域と長い間考えられていた、チェスや囲碁などのゲームでAIが勝利できることを示す最新の実験だ。

 多くのAIシステムは、ディープラーニングと呼ばれるシステムによる実世界のデータを使った訓練を通じて、顔を認識したり、スパムを検出したりする能力を習得する。GTソフィーには、リインフォースメントラーニング(強化学習)という、それとは異なる技法が採用されている。この技法では、AIは訓練されておらず、何をすればよいか分からない状態から訓練を開始。GTソフィーはコース上で何度もレースを繰り返し、人間が設計した報奨システムによって、より良い結果を出すよう促され、徐々にゲームを習得していった。

 GTソフィーの学習過程で特に困難だったのは、衝突を回避することや、他のドライバーに対して不適切な割り込みをしてはいけないといった、カーレースの不文律を理解することだった。

 「スポーツマンシップという側面を正しく学習させることがどれだけ難しいかを、われわれは皆理解していた」と、ソニーAIのディレクターを務めるPeter Wurman氏は動画の中で述べた。「他のドライバーを前に、過度に攻撃的になったり、過度に気後れしたりすることなく、レースをするということだ」(同氏)

  ソニーAIは、1000台以上のゲーム機「PlayStation 4」を接続したコンピューターでシミュレーションを実行した。

この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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