スマートフォンのようなデバイスは、ある程度のセキュリティを確保しつつ利便性を高めようとして、指紋認証や顔認証などの生体認証技術を採用している。ただし、ほかのデバイスと組み合わせて使うなど、状況によっては既存の認証方式が面倒な場面もある。
これに対し、Appleはイヤホンで計測する耳内部の形状からユーザー認証する技術を考案。この技術を米国特許商標庁(USPTO)へ出願したところ、米国時間1月27日に「USER IDENTIFICATION USING HEADPHONES」(公開特許番号「US 2022/0030345 A1」)として公開された。出願日は2020年8月13日。
この特許は、2つのデバイスを組み合わせて使う際、耳に装着する第2のデバイスがユーザー認証し、両デバイスを利用できるようにする技術を説明したもの。第2のデバイスは、耳の内部に送った音波の反射音から耳内部の形状を数値化し、装着したユーザーが正規のユーザーかどうか確認する。正しいユーザーと判断したら、第1のデバイスに届いた音声メッセージを第2のデバイスで再生可能にしたり、第1のデバイスを介す音声コミュニケーションを第2のデバイスで始めたりする。
第2のデバイスについて、耳に装着して耳内部の計測が可能であれば種類は問わない。ただし、その使い方や実施例の説明から、イヤホンのようなデバイスを想定していると思われる。また、実施例では第1のデバイスをタブレットとして説明しているが、スマートフォンやPCなどにも同特許は適用できる。
第2のデバイスが耳内部の特徴を捉える音波は、可聴音でなく超音波でも構わない。ユーザーの声から声紋を取得したり、加速度から歩き方を計測したりしてユーザー認証するアイデアにも触れている。
さらに、第1デバイスがアンロック状態にあると耳内部の特徴を登録できる仕組みについても言及している。
なお、特許とは、技術的アイデアの権利保護を目的とした公的文書である。登録されて成立しても、実際の製品やサービスで利用されるとは限らない。さらに、アイデアの存在を公知の事実にする目的で出願され、登録に至らず公開止まりになるものも少なくない。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
「程よく明るい」照明がオフィスにもたらす
業務生産性の向上への意外な効果