ソニーは、細胞分析装置の開発など、細胞レベルの解析を行う最先端医療の研究に向けたライフサイエンス事業も展開している。1月26日、新たに狙った細胞を高速・高精度で分取する閉鎖型構造のセルアイソレーションシステム「CGX10」を秋に発売すると発表した。
昨今、がんや自己免疫疾患などの新しい治療方法として、細胞免疫治療法が注目されている。この治療法に必要な細胞薬の製造において、細胞を高精度かつ高純度で分取する需要が高まっているという。
従来製品は大学や製薬会社の基礎研究向けだったが、細胞薬製造プロセス開発への活用やその後の医薬品の製造管理および品質管理に関する基準に適合する細胞製造への展開も期待できる商品となり、バイオテックの企業や製薬会社での活用も見込む。
開かれた空間で細胞を分取する従来型の方法とは異なり、外気に触れない閉ざされた空間内で行えるため、滅菌状態を維持しながら細胞を分取できるよう設計を特長とする。グローブしたままでタッチパネルを操作できる直観的な操作感もポイントの一つだ。
また、4レーザー(405nm/488nm/561nm/638nm)の照射により得られる細胞種類を特定するための10個のパラメーター(特徴)に基づいて、大量の細胞を分類。1秒あたり1万5000個の分析処理速度の場合、約97%の高い細胞分取純度を実現するとしている。
さらに、分取原理は、液体の制御を適切に行うことで、細胞のダメージを最小限に抑える設計になっており、高い生存率維持が期待できる。これにより、細胞分取後の培養工程や細胞薬の製造工程の効率化に貢献するほか、また、本機の消耗品は使い捨てのため、たとえば、検体に触れる液体制御用のチュービングキットは患者ごとに使い分けができ、検体の相互混入を防げるとしている。
細胞治療や再生医療等の分野における治療の開発のための研究のほか、細胞薬製造プロセス開発への活用、その後の医薬品の製造管理および品質管理に関する基準に適合する細胞製造への展開も期待できる商品という。
価格はオープンで、従来の研究用MA900が4000万円弱としており、今回も同程度を見込む。
CGX10の導入により、ソニーのライフサイエンス事業は、研究用途から前臨床・治験のための細胞薬製造の分野へ拡大し、細胞治療の進展にさらなる貢献をしたいとしている。
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