オーディオブックや音声コンテンツの配信サービス「Amazonオーディブル」(Audible)は、1月26日に戦略発表会を開催。そのなかで、日本向けの会員プランについて、1月27日から定額の聴き放題制へ移行すると発表。12万以上の聴き放題対象となるオーディオブックやポッドキャストを楽しむことができる。価格は、これまでと同じで月額1500円。
オーディブルについて、これまではポッドキャストのみ聴き放題だったが、月額費はそのままで対象となるオーディオブックが聴き放題となる。また再生方法についてもストリーミング再生が可能になるという。
オーディブルは、2015年に日本向けサービスを開始し、「声の力を最大限に解き放つ(Power Of Voice)」をコンセプトとして、コンテンツを拡充。2021年には、オーディブルの日本サービスで初めてとなる、書籍よりも先に音声で届ける「オーディオファースト作品」の配信や、主要ラジオ局とのオリジナルポッドキャスト制作に向けた連携強化、書籍と同日発売の作品数拡大などを実施したという。その結果として、コイン制移行時の2018年8月と比較すると、2021年12月には会員数が約4.5倍へと増加したとしている。
2022年は聴き放題へ移行後も、引き続きコンテンツ拡充に注力する。今春には、米国の人気コミック「The Sandman」日本語版の配信を予定。メインキャストとして、モルフェウス役に声優の森川智之さん、デス役に女優の南沙良さん、ナレーションに俳優の今井翼さんを起用。総勢50名以上のキャストによって提供するという。発表会では3人が姿を見せ、作品の魅力や収録時のエピソード、聴きどころなどを語っていた。
ポッドキャストにおいては、1月27日から俳優の杏さんとオーディブルが共同で企画・制作を行った「Journey To The Origin With Anne」も配信予定。発表会では杏さんが登壇し、企画段階からミーティングに参加したことや番組の魅力などをアピールした。
オーディオブックの展開としては、日本語では初めてという、村上春樹氏の著書10作品の日本語版オーディオブックの制作に向けたプロジェクトを始動。「騎士団長殺し」を高橋一生さん、「海辺のカフカ」を木村佳乃さん、「神の子どもたちはみな踊る」を仲野太賀さん、「職業としての小説家」を小澤征悦さん、「東京奇譚集」をイッセー尾形さんの朗読での制作を予定。それ以外にも「1Q84」「ねじまき鳥クロニクル」「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」「螢・納屋を焼く・その他の短編」「辺境・近境」の制作を計画しているという。発表会では、村上氏からのコメントも寄せられていた。
僕は車を運転しながら、よく小説の朗読を聴いています。僕の場合、どちらかといえば古典作品を「聴く」ことが多いんだけど、自分の小説がほとんど同時代的に「耳で読まれる」というのは、嬉しいようでもあり、また少しばかり気恥ずかしいようでもあります。でもこれからはおそらく、多様な形式をとって小説は読まれていくのだろうし、作家の側も多かれ少なかれ、そういう新しい環境を念頭に置いて作品を書いていくことになるのだろうと思います。これまでになかった新しい可能性が生まれるといいと思う。(村上春樹氏)
オーディオファースト作品についても、新潮社との取り組みで三浦しをんさん著「墨のゆらめき」(仮題) の配信を予定。ほかにも、河出書房新社、幻冬舎、講談社、実業之日本社を含む多くの出版社と、新たにプロジェクトを始動するとしている。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス