アプリの切り替えが簡単になる程度なら、まったく新しいディスプレイ展開の仕組みを開発する手間と比べてメリットが少ないように思えるかもしれない。だが、フレキシブルディスプレイの重要な点は、スマートフォンのデザインを長方形のフラットスクリーンという制限から解放できることにある。ソフトウェアではイノベーションが続いているが、「iOS 15」や「Android 12」の最新アップデートが登場しても、私たちのスマートフォンの使い方はさほど変わっていない。したがって、スマートフォンやタブレットを劇的に進化させるには、新しいハードウェアを開発するしか方法がないのかもしれない。
ディスプレイを展開したり広げたりして表示領域を増やせる機能は、一度に複数のアプリを使ったりメディアをより大きな画面で楽しんだりできるという点で、消費者にとって魅力的だ。今回のCESで披露されたコンセプトは、そのような大きな目標を実現するために、大きなディスプレイをポケットや財布に入れられる程度のサイズに縮める方法を示したものと言える。
サムスンが、これらの次期フレキシブルディスプレイ端末を市場に投入するかどうか予測するのは困難だ。投入するとなれば、消費者に認知してもらうことが次の課題となる。
Z Fold3やZ Flip3が消費者に選ばれるようになるまでに、サムスンの折りたたみ式スマホは3世代を要した。2021年の両モデルの販売台数は推定計900万台と、2020年に販売された同社折りたたみ式スマホの4倍に達している。消費者は、使えることが実証された2画面のスマホデザインを受け入れ始めている。今後、3つ折りスマホも受け入れるだろうか。
それは、サムスンの折りたたみ式の開発コンセプトが新デザインにどれだけ引き継がれるか、また3つ折りスマホが十分に洗練され、2019年に初代「Galaxy Z Fold」を悩ませ、発売の半年延期をもたらした耐久性とヒンジの問題を回避できるかどうかにかかっている。サムスンはその後、折りたたみ式についての評価を回復したが、別の折りたたみ式デザインで新たな問題が生じない保証はない。
加えて不透明なのは、特にサムスンのコンセプトに見られた大型のタブレットサイズに関して、2画面を超える新たな折りたたみ式デザインを消費者が受け入れる準備ができているかどうかだ。しかし前述のASUSのZenbook 17 Fold OLEDのように、少なくとも他社はデュアルディスプレイの大型化に関しては、その可能性を見込んで開発を急いでいる。今回披露されたコンセプトのいくつかは、2021年5月に公開されたサムスンのディスプレイ部門のプロモーション動画にも登場しているので、CESで披露するためにプロトタイプを作成したとは考えられそうだ。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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