「最初はSecond Life風の空間から始まり、さまざまなガバナンス問題を解決しながら成長し、やがて人々はこう言うようになるだろう。『すごい、ヘッドセットを着けたらもっと楽しめるよ』」とRosedale氏。
現時点では、Second Lifeを含め、どんなによくできた仮想コミュニティーも多くの制限を抱えているとRosedale氏は認める。「Second Lifeでは、1カ所に同時に集まることができる人数は100人程度だ。十分とは言えないが、立っているだけでよければ、その数は他の仮想世界よりも多い」。同氏は、Second Lifeをもっと分散された空間にしたいと考えているが、バランスが難しいという。
Second Lifeにとっての正しいバランスが何かはまだ分からない。空間オーディオは含まれるだろう。カメラによる顔追跡を利用した高度なアバターのアニメーションも考えられる。「ウェブカメラを使ったアバターのアニメーション化は、過渡期のアイデアとしては面白い」とRosedale氏は言う。「あまり注目されていないが、私自身は昔から考えてきたアイデアだ」。同氏は、Second Lifeをスマートフォンに対応させることも検討している。
Second Lifeにメタバースの新しい概念、例えばNFTのような相互運用可能なコンテンツを取り入れることについては、Rosedale氏はまだ懐疑的だ。「『グランド・セフト・オート』のフェラーリを、わざわざ『フォートナイト』や『Among Us』で運転したいだろうか」と同氏は言う。コンテンツを他の体験に持ち込むことは、十分に考えない限り、没入感のある体験の「第4の壁を破る」(訳注:舞台上の演者が観客の存在を“自覚”する)ことになりかねないと同氏は言う。「短期的には、ゲームの世界では、コンテンツの相互運用はブランドだけが気に入る類いのものとなるだろう」。Second Lifeには、Rosedale氏が安定していると考える独自の通貨があり、独自の経済が存在する。
「仮想空間そのものが発展し、普及するためには、コンテンツの相互運用は欠かせない。ゲームを相互接続する方法としては、完全な失敗だ。短期的な発想に価値はない。重要なのは長期的に考えることであり、その正しさは『Roblox』やSecond Lifeが証明してきた。この2つの世界では、ユーザーによって無数のコンテンツが活発にやり取りされている」
Rosedale氏は、Second Lifeで販売されているコンテンツを、ある種のNFTのようなものだと考えている。一方、仮想空間をめぐる競争は激しいことも認識している。数ある仮想空間の中で、同氏が特に成功していると考えているのはRobloxと「VRChat」だ。
「Second Lifeでは、年に約3億7500万個の商品が1個あたり2ドル程度で売られ、年間の取引額は合計6億5000万ドル(約740億円)前後に達する。そのすべてがNFT、つまりデジタル資産に印を付け、売買・共有できるようにしたものだ。仮想空間で取引されるアイテムは今後も増え続けるだろう。しかしまずは、なぜ自分はその空間にいるのか、なぜその空間を使うのかを自問し、答えなければならない」
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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