仮想現実(VR)テクノロジーは今、ちょっとした過渡期を迎えている。
2022年にはFacebook改めMetaが、複合現実(MR)や表情のトラッキングに対応した新型VRヘッドセットを発売するだろう。ソニーも「PlayStation 5(PS5)」用に、独自の新型コントローラーとおそらくは視線追跡機能を備えた「PlayStation VR 2」をリリースする見込みだ。Appleも2022年中に何らかのVR・拡張現実(AR)ヘッドセットを発表するとみられているが、価格や機能は依然として謎に包まれている。HTCの「VIVE Flow」のような、スマートフォンと接続できるタイプのVRヘッドセットも登場するかもしれない。
混戦が予想されるVRヘッドセット市場だが、入門機の決定版が「Oculus Quest 2」あることに変わりはなさそうだ。2022年もQuest 2が陳腐化することはないだろう。
値が張るビジネスVRの分野では、「VIVE Focus 3」が高機能なスタンドアロン型VRヘッドセットの進化の方向性を示している。
一方、サムスンの「Gear VR」やGoogleの「Daydream」のような、モバイルVRやスマートフォンを利用するタイプのVRヘッドセットは基本的に消滅した。現在の「iPhone」や「Android」デバイス、VRアプリの中には、こうした古いモバイルVRゴーグルには対応していないものも多い。
PCゲーマーなら、ゲーミングPCと接続できる本格的なVRヘッドセットがお勧めだ。没入感のあるVR体験を楽しむためのソフトウェアが充実しており、クリエイティブやビジネスの用途にも活用できる。
ゲーム機で使いたいなら、「PlayStation VR」はどうだろう。発売から時間がたってはいるが、もしセール中で家にPS4があるなら、まだまだ楽しめる。このヘッドセットでプレイできる優れたVRゲームは想像以上にたくさんあるからだ。
今回の記事では、最高のVR体験ができるヘッドセットはどれかを考えてみたい。
長所:オールインワン型。ワイヤレス。優れたタッチコントローラー。ゲームに適した快適な使用感。PC用VRヘッドセットとしても利用可能。
短所:Facebookアカウントが必要。
Oculus Quest 2は、299ドル(日本では税込3万7180円)で手に入るVRヘッドセットだ。オールインワン型なので、VRゲームや没入感のあるVR体験をどこででも楽しめる。初代Questよりも速く、小さく、安く、装着時の快適度も高まっているが、使用するためにはFacebookにログインしなければならない。新バージョンでは、299ドルモデルのストレージが2倍の128GBに増えた。同社は2021年、一部のユーザーからヘッドセットの顔に接する部分のパーツが皮膚炎を起こすという報告が寄せられたことを受けて、対策を講じた。現在はこの部分を覆うシリコンカバーを同梱しており、それ以前に購入したユーザーには無償で配布中だ。
Quest 2は、「Nintendo Switch」に通じる汎用性と楽しさを備えているように思う。しかも、わずか数秒で起動し、メガネをかけたまま装着しても違和感がない。このスタンドアロン型VRヘッドセットは、単体で動作するモーショントラッキング機能に加えて、PC用VRヘッドセットの「Oculus Rift」に搭載されていたものと同じ、フルモーションの6自由度(通称6DoF)に対応している。高解像度の鮮明なディスプレイと内蔵スピーカーを備え、アプリはヘッドセットの内蔵ストレージに直接ダウンロードされる。性能に制約のあるモバイルプロセッサーでも、「Beat Saber」「Moss」「SUPERHOT VR」といったゲームを快適にプレイでき、USB-Cケーブル1本でPCとも接続できる。
Facebookはすでに「Oculus Rift S」の製造を終了しているため、Quest 2は現在、Oculus VRブランドの唯一にして最良の選択肢だ。しかしPC用VRの市場には、他にも多くのVRヘッドセットが存在する。
長所:鮮明な高解像度ディスプレイ。高品質のオーディオ。快適なデザイン。
短所:平凡なコントローラー。
コンシューマーVRで最高の画質を求めるなら、HPの最新VRヘッドセットがお勧めだ。本格的なゲーマー、VRレーシングシミュレーションの愛好家なら、このVRテクノロジーが最良の選択肢となるだろう。1眼あたり2160×2160の液晶パネルと114度の視野角は、この価格帯では最高のものだ。この軽量で快適なヘッドセットには、Valveが設計したトップクラスのスピーカーも搭載されている。技術的にはMicrosoftの「Windows Mixed Reality」対応のヘッドセットであり、ネイティブなWindows 10のVRエコシステムでの利用が推奨されているが、Steam VRにも対応しているので、Steamのゲームやアプリも利用できる。
内蔵カメラによるルームトラッキングは、Valve Indexのベースステーションよりは設定しやすいが、トラッキングエラーが発生しやすい。MicrosoftのVRコントローラーのデザインを下敷きとした付属コントローラーは、「Oculus Touch」やValve Indexのコントローラーと比べると見劣りがする。オーディオは耳に接しないオフイヤータイプのスピーカーのみで、イヤホンジャックはない。
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