Clearview AIが開発し、物議を醸している顔認識システムに、米国で特許が認められる可能性が高まった。同社は、ソーシャルメディアサイトに投稿された人物の画像に顔認識技術を適用し、自社のデータベースに追加している。同社は米国時間12月4日、米国特許商標庁(USPTO)から認可通知を受け取ったことを認めた。この通知は、同社が管理費を支払えば、出願が認められることを意味する。
この件を最初に報じたPoliticoは、特許が認められることで、議員らが法規制で対処する前に、類似した技術の開発が早まるのではないかと懸念する批判的な意見を紹介している。
米連邦捜査局(FBI)や米国土安全保障省を含む法執行機関で利用されているClearview AIのシステムは、ソーシャルメディアサイトを巡回し、同意を得ずに人物の画像を収集して、データベースに膨大な画像を蓄積しているとして批判されてきた。これに対し同社は、一般に公開されている写真を収集しているので、適正なビジネスとみなされるべきだと主張している。この手法については、FacebookやTwitterなどから中止を求める書簡が提出された。また、オーストラリア、英国、カナダなどの公職者らは、データプライバシー関連法に違反しているとしてClearview AIを非難している。
Clearview AIの最高経営責任者(CEO)Hoan Ton-That氏は同社のシステムについて、犯罪の容疑者を特定するためのもので監視ツールではないと述べ、同社は顔認識の適切な利用に向けたルール作りで政策立案者らと協力するなど、自社技術の「責任ある使用を約束するために尽力する」としていた。Clearview AIは4日、米CNETに対し、「Clearview AIのコンシューマーグレード版を開発するつもりはない」とコメントした。批評家らは、このような技術のアプリやコンシューマー向けバージョンによって、通りすがりの人にスマートフォンで写真を撮影され、個人データをさらされる恐れがあると主張している。
Politicoは、Clearview AIの特許出願書には、警察による容疑者の特定にとどまらない用途を示唆する文言が含まれていると指摘している。
特許出願書では、「多くの場合、人が仕事やデートなどの関係を通じて出会った相手について、より深く知るのは望ましいことだろう」とした上で、質問したり、インターネットで調べたり、身元調査をしたりといった従来の方法では十分でない場合もあるとしている。「従って、相手に関する情報を入手するとともに、所定の基準に基づいて情報を選択的に提供するための、より優れた方法とシステムが強く求められている」
顔認証システムは、不正確で誤認逮捕などの問題につながる場合があるとして批判されている。特に有色人種や女性を認識するのが苦手とされる。また、プライバシー擁護派は、例えば政治デモや抗議活動を監視することで反対意見が抑圧されると懸念している。一方、警察当局はシステムが万引き、児童性的搾取、殺人などの犯罪事件の解決に利用されていると述べている。
Clearview AIはPoliticoに対し、同社の技術が誤認逮捕につながった事例は把握していないと述べた。同社の技術は、米商務省傘下の米国立標準技術研究所(NIST)による最近の監査で、精度が高いことが分かったとPoliticoは報じている。Ton-That氏は複数の人種をルーツとする人間として、そのような正確さは「私にとって非常に重要だ」と語る。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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