デジタル通貨フォーラムの事務局を務めるディーカレットは11月24日、フォーラムで検討してきた内容をまとめた二つのレポートを発表した。
二層構造のデジタル通貨プラットフォームを活用するデジタル通貨「DCJPY」の実現に向け、概要や共通する仕組みなどを説明したホワイトペーパーと、さまざまな分野に活用すべく10の分科会に分かれて取り組んできた内容で構成したプログレスレポートというかたちでまとめている。
デジタル通貨フォーラムは、2020年6~9月に開催したデジタル通貨勉強会が発展的解消するかたちで、2020年12月に設立。
デジタル通貨勉強会に参加していた企業、銀行、関係省庁、自治体といった63団体に11団体を加えた計74団体が、DCJPYと仮称する新たな円建てのデジタル通貨と、その決済インフラの実現に向けた議論を重ねてきた。
ディーカレット 代表取締役社長と、デジタル通貨フォーラム 事務局を兼務する時田一広氏は、「デジタル通貨の最大の価値は、本来つながっているべき、マネーとデジタル情報の関連付けにある。(2つの情報が)分類されている今の状態に違和感があるのは当然。これからの社会にあるべきデジタルマネーが必要となっている」と、デジタル通貨の必要性を訴えた。
DCJPYは、デジタル通貨を管理する唯一の「共通領域」と、デジタル通貨とさまざまな“モノ”の流れをリンク、決済させつつ、共通領域と同期する「付加領域」の二層構造のプラットフォームを採用を予定している。
DCJPYのプラットフォームで発行するすべてのデジタル通貨にとってのコアとなる共通領域は、残高を記録する元帳の管理やそれらに付随する業務のための機能、また民間銀行がデジタル通貨を発行するために各銀行のシステムと連携するための仕組みなどを実装する。
デジタル通貨の発行体を担う銀行が中心となり、日本国内の個人や法人での利用を対象とした検討を進めている。なお、DCJPYの価格は変動せず、完全に1円=1通貨として発行する予定だという。
一方、付加領域では、ブロックチェーンなどを活用した改ざんのしにくさ、透明性などを共通の特徴としながらも、さまざまなビジネスニーズに応じたプログラムの書き込みを想定する。
各分野でのデジタル通貨の活用意義から実ビジネスへの実装、ユースケースのデザインまでが検討対象となり、「電力取引」「小売り・流通」「地域通貨」などと、同日新たに凸版印刷、KDDI、NTTドコモ、HashPort、ディーカレットで設立した「NFT」を加えた10の分科会に分かれ、議論が進んでいるという。
同日には、電力取引分科会に参加するエナリスが、電力取引実績をグリーンファイナンスへ活用する実証事業の開始を発表。
電力取引情報に再生可能エネルギーの使用率や使用電力自体の評価などを付加することで、企業の環境への取り組みを自動的に証明、評価する仕組みの有効性を検証するという。
時田氏は、「今まで約1年取り組んできた内容は、これからの概念検証のためのもの。2021年度後半から2022年度前半にかけて、各分科会が概念研修を随時稼動していく」と、これから各分科会でのPoCが本格化していくと語った。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
地味ながら負荷の高い議事録作成作業に衝撃
使って納得「自動議事録作成マシン」の実力
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」