欧州連合(EU)全体でエネルギー集約型の仮想通貨マイニングを禁止するよう、スウェーデンの関係省庁が要請した。仮想通貨マイニングにより、2015年のパリ協定で合意された世界の平均気温上昇を1.5度に抑えるという目標の達成が危ぶまれているという。
EUに宛てた公開書簡で、スウェーデン金融監督庁のErik Thedeen長官とスウェーデン環境保護庁のBjorn Risinger長官は、同国でビットコインのマイニングに使われる電力量が4月~8月の間に「数百%」上昇したと警告した。
こうした仮想通貨マイニングに利用されるスウェーデンの再生可能エネルギー源はますます増加している。両長官によると、そういった再生可能エネルギーは、「化石燃料フリーの鉄鋼の開発や、大規模なバッテリー製造、輸送部門の電化のために至急必要」だという。
仮想通貨の取り締まりの一環として、中国が先ごろ仮想トークンの発行や取引、仮想通貨取引所の運営に関するあらゆる活動を全面的に禁止する方針を示したことで、マイナーらは中国以外の地域に目を向けるようになっている。
そうした地域の1つが、価格や税金の面でより有利に取引でき、再生可能エネルギーを豊富に利用できる北欧だ。
Thedeen長官とRisinger長官は、「スウェーデンで仮想通貨の大規模なマイニングを許可すれば、必要な気候変動対策に充てるための再生可能エネルギーが不足するおそれがある」と警告している。
書簡では特に、仮想通貨のマイニングを使った取引承認の仕組み「プルーフ・オブ・ワーク(PoW)」をEU全域で禁止するよう求めている。PoWでは、コンピューターの処理能力を利用してネットワーク上の数学的パズルを解き、ブロックチェーンでの取り引きを検証する。
イーサリアムのネットワークでは、取り引きに必要な処理能力は「ガス」と呼ばれ、マイナーらがネットワーク上の需給に応じて「ガス代」(取引手数料)を設定している。
両長官によると、スウェーデンではビットコインのマイニングに使われている電力消費量が年間1テラワット時(TWh)に達しており、これは20万世帯分の電力に相当するという。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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