地球の低軌道を周回する衛星が地上の木々とデュエットを奏でるなどと言われれば、奇妙なSF映画のワンシーンと思うかもしれない。だが、米航空宇宙局(NASA)の科学者とアーティストで構成されたグループがこの計画を実現できれば、200年続く現実世界のコラボレーションとなるだろう。
この樹木と機械によるコラボレーションは、アートとサイエンスを結びつける公開プロジェクト「The Tree of Life」の一環で、「地球と外宇宙を歌でつなぐ。この歌は、軌道を周回する宇宙船と、テクノロジー的要素として使われることがめったにない生きた樹木の間で電波を使って送られ、樹木は生きた巨大なアンテナシステムとして機能することになる」と、Space Song Foundationが初めて手がけるこのプロジェクトの説明文には書かれている。この新たに設立された財団は、長期的な宇宙ミッションを支援する持続可能な技術を設計、開発するために設立された非営利団体だ。
具体的には、デジタルセンサーが木々を取り巻く環境の変化を捉え、専用ソフトウェアがそのデータポイントを可聴周波数に変換して、遠く離れた小型の探査機に送信する。すると、その探査機が自身の運用状況に関するデータを送り返すというしくみだ。
「木々が感じる光、水、温度の変化に合わせて、この歌の旋律、音量、そして実際に奏でる音が変化する」と、科学、アート、デザインが重なり合う領域をテリトリーとするSpace Song Foundationの理事長、Julia Christensen氏は言う。
「短期的には、昼から夜に変わるときや雲が木の上を通過するとき、あるいは季節が変わるときなどに、歌の変化が聞こえてくるだろう。だが、数十年あるいは数百年と言う非常に長いスパンで見れば、地球規模での大きな気候変動やその他の地球上での変化を耳にすることになる」と、オーバリン大学でスタジオアートプログラムの責任者も務めるChristensen氏は語っている。
Space Song FoundationはTree of Lifeのための資金をKickstarterで募集中で、約170万円の目標に対して133万円を調達済みだ。締め切りまではあと3日となっている(全てのKickstarterプロジェクトが計画通りにいくわけではないことに留意してほしい)。
計画通りに進めば、最初の2本の「歌う」木が2022年春~夏にニューヨークとロサンゼルスに配置されるという。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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