三菱地所は11月4日、スマホアプリやスマートスピーカーを使い、住設機器や家電などのIoT機器をまとめて操作、管理できる総合スマートホームサービス「HOMETACT(ホームタクト)」を開発したと発表した。クラウドを使ったAPI連携により、複数メーカーのIoT機器を横断的かつ一括制御できる。11月5日に入居を開始する東京都港区にある賃貸マンション「ザ・パークハビオ 麻布十番」ほかで採用する。
HOMETACTは、特定のブランドやメーカーに依存せず、幅広いIoT機器、住設機器を連携し、オリジナルアプリを使って連携、制御できるスマートホームサービス。設置や初期設定などは不要で、ログインだけで使い始められる。対応機器であれば、手持ちのスマートスピーカーやロボット掃除機、照明などを組み合わせて使用することも可能だ。
三菱地所 住宅業務企画部長の細谷惣一郎氏は「スマートホームサービスは次なる生活インフラとして普及、定着すると考えている。これは、導入初期懐疑的に見られていたものの、その後スタンダードになった床暖房や食洗機などと同じなのではないかというイメージだ。しかしIoT先進国である米国のように日本でのスマートホームサービスは導入が進んでいないのが実情。導入が進まないのは『利用するアプリがばらばらでまとめて操作できない』『ユーザー自身では設定、設置が難しい』『コールセンターや緊急対応などのユーザー対応サービスが充実していない』の3つの理由があると考え、その課題を解決し、日本の住宅に導入しやすいサービスを目指した」とHOMETACT開発の背景を話した。
現時点で、スマートスピーカー「Google Nest」、給湯コントローラー「リンナイ」赤外線コントローラー「LiveSmart」、スマートスイッチ「LifeSmart」、スマートカーテン「somfy」、ロボット掃除機「アイロボット」、スピーカー「SONOS」、スマートライト「PHILIPS Hue」に対応し、専用アプリ「HOMETACT」からのコントロールが可能だ。
「シーン」を設定すると、アプリのタップ操作などのワンアクションで、複数のIoT機器をまとめて動かすこともできる。例えば「おはよう」のシーン設定で、カーテンが開き、照明が付き、スピーカーから音楽が流れるといった組み合わせが可能で、「おやすみ」では、テレビや照明の一括オフといった操作ができる。
時間や位置情報などをトリガーにして、複数のIoT機器をまとめて自動で動かせる「マイルール」も用意。スマートフォンのGPSと連動して、家から○メートルまで近づいたらエアコンを入れる、お風呂を沸かすといったことも可能だ。
同様のスマートホームサービスも登場しているが「クラウドによるAPI連携で、インターネットにつながっているデバイスであれば、連携できることが特徴。対応機器は今後順次拡大していく計画だ。日本はガラパゴス化しやすいと言われる市場で、各サービス、機器との連携はチャレンジできていなかった領域。この部分に私たち三菱地所が旗を振り、各社と地道に協議し、連携している。不動産業界では今までなかったものと認識している」(三菱地所 住宅業務企画部主事の橘嘉宏氏)と自信を見せる。
アプリの設定や操作方法など、専用コールセンターを設けているのも特徴で、この部分はビックカメラとの連携により実現したもの。「今までのスマートホームサービスは設置や設定をユーザーの方におまかせすることが多く、それが導入のハードルを高くしていた。お客様まかせにすると浸透はしない。ログインするだけで動くことを実現している」(橘氏)とアフターケアにまで気を配る。
ザ・パークハビオ 麻布十番は、地上15階建て。106戸すべてにHOMETACTを導入する。マンションのエントランスは「Ninja Entrance」、専有部の鍵はスマートロック「Ninja Lock M」を採用しており、アプリからの施解錠に対応する。今後は、鍵の遠隔解錠やゲスト招待機能を使うことで、宅配サービスや家事代行、ハウスクリーニングといった「家ナカサービス」への活用も想定しているという。
賃貸マンションへの導入になったが、将来的には分譲マンションへの採用も考えているとのこと。基本的に新築が対象になるが、大規模リノベーションやオーナーが変わり、設備投資するタイミングなどであれば積極的に提供していきたいとしている。
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