ソフトバンクとALES、スイスのu-blox AGの3社は11月1日、高精度測位サービスのグローバル展開に向けた協業への合意を発表した。
グローバル対応の補正情報配信基盤などのデバイスの開発、サービス対象エリアの拡大などに取り組む。グローバルに事業を展開する自動車、建機、農機メーカーなどが、日本や欧米で共通して高精度測位サービスを利用できる環境の構築を目指す。
ソフトバンクは、測位コアシステムの研究開発・運用をする子会社であるALESを2018年に設立。同社とともに、2019年11月から高精度測位サービス「ichimill」を提供している。
Global Navigation Satellite System(GNSS)の信号を利用した、固定局と移動局の二つの受信機でリアルタイムに情報をやりとりできる“Real Time Kinematic(RTK)方式”で、誤差数センチメートルで測位可能。全国3300カ所以上のソフトバンクLTEエリアで利用でき、建設や農業、モビリティ分野などでの活用が進んでいる。
測位とワイヤレス通信向けの半導体、通信モジュールなどを開発、提供するu-bloxは、7月からRTK方式と、固定局を使わずに複数の衛星から受信した信号を基に補正するPPP方式を組み合わせた“PPP-RTK方式”の高精度測位サービス「PointPerfect」の提供を開始。現在は欧米エリア全域でサービスを提供している。
これらの高精度測位を実現するサービスは、主に国や地域ごとでの展開となっている。グローバルに事業を展開する企業は、国や地域に応じたサービス契約、GNSS受信機の準備などが必要な現状があるという。
ソフトバンク テクノロジーユニット サービス企画技術本部 測位ソリューション部 測位ソリューション1課 課長と、ALES 事業企画本部 本部長を兼務する長谷川誠氏は、「(グローバルに使えるサービスは、)グローバルで事業展開するお客様から多くのニーズをいただいていた。測位事業としても世界でのポテンシャルが非常に大きく、検討を進めていた」と背景を説明。
3社の協業により、自動車、建機、農機などのグローバルメーカーが、日本や欧米などで共通した高精度測位サービスを利用できる環境の構築を目指す。
具体的には、2022年内をめどに、グローバルな補正情報配信基盤の開発を検討する。
国や地域で異なる補正信号の形式を配信システム上で統一する補正情報配信基盤を開発すれば、ichimillやPointPerfectの利用企業は、対象エリアであれば国や地域ごとでのサービス契約不要で高精度測位が可能だ。同時に、GNSS受信機、モジュールといったデバイス面のグローバル対応にも取り組むという。
また、それぞれのノウハウを活用した測位精度の向上、アジア圏などへのサービス対象エリアの拡大に加え、海上や上空、発展途上国やルーラルエリアといったインターネット環境が整っていない地域へ宇宙空間や成層圏から通信ネットワークを提供する非地上系ネットワーク(Non-Terrestrial Network:NTN」)ソリューションの帯域に適した少量データの補正情報配信などのサービス開発も検討していく。
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