Donald Trump前米大統領のソーシャルネットワーキングサイト「TRUTH Social」のベータ版が、GNU Affero General Public License 3(AGPLv3)に違反するかたちで、ソーシャルネットワーク「Mastodon」のソースコードを不正に使用しているとし、オープンソースソフトウェアの普及や、AGPLv3といったオープンソースライセンスの保護に取り組む非営利団体Software Freedom Conservancy(SFC)が、Trump Media & Technology Group(TMTG)を槍玉に挙げている。
フリーソフトウェアを追求する活動家であり、SFCのポリシーフェロー兼Hacker-in-ResidenceであるBradley M. Kuhn氏はSFCのブログに以下のように記している。
TMTGが立ち上げ、公開した「TRUTH Social」のいわゆる「テストサイト」とされるものは、AGPLv3ライセンスのMastodonソフトウェアプラットフォームをベースにしていることが強く示されている。このサイトでは一時的に、多くのユーザーがアカウントを作成、利用できるようになっていた。しかしAGPLv3ライセンスは、このライセンスに基づくサイトをインターネット上に設置する場合、対象コードをベースにしたウェブサイトにおける「対応するソース」すべてを(あらゆるユーザーに)提供する機会を設けなければならないとしている。今回の初期ユーザーは、そういったソースコードを受け取っておらず、TMTGは現在のところその公開要求を無視している。Free and Open Source Software(FOSS)ライセンスの根幹となるこの条項に準拠するには、TMTGはこのサイトが稼働していた21日にサイトを使用したすべてのユーザーに向け、対応するソースを速やかに提供する必要がある。30日以内にこの条項に従わなかった場合、このソフトウェアに関する権利と許諾は自動的かつ恒久的に消滅することになる。これがAGPLv3の是正条項であり、不動産王だろうと、リアリティー番組のスターだろうと、さらには元米大統領であろうと例外なく適用される。
Mastodonはセルフホスト型のソーシャルネットワーキングサービスを運営するためのフリーかつオープンソースのソフトウェアだ。このため、Kuhn氏も「このライセンスはあらゆる人々(それがわれわれの好んでいない人々であるか、意見を異にする人々であるかにかかわらず)を平等に扱おうとするものだ」と述べているように、誰でも使用することができる。ただ同氏は「しかし、あらゆる人々に同様に適用されるコピーレフトライセンスという、同一のルールに従う必要がある」と続けている。このため使用した場合、そのソースコードを公開するか、入手手段をユーザーに提供しなければならない。TMTGはそうしなかった。簡単な話だ。
AGPLv3はそれほど一般的ではないオープンソースライセンスの1つだといえるかもしれない。ソーシャルネットワークのようなサービスを提供するネットワークサーバーの運営者が、サービス運用に使用している修正版のソースコードをそのユーザーに確実に提供できるようにすることを目的としている。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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