旭化成不動産、住宅密集地をマンションに--住民がそのまま住める等価交換という仕組み

加納恵 (編集部)2021年10月26日 08時30分
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 旭化成不動産レジデンスは10月25日、地権者38名との等価交換事業によって建設した「アトラス築地」を公開した。細分化された住宅密集地である築地エリアに新たに作られた大型分譲マンションになる。

「アトラス築地」
「アトラス築地」

 アトラス築地は、鉄筋コンクリート造の地上11階、地下1階の分譲マンション。総戸数161戸のうち36戸は地権者が住む、事業協力者取得住戸になる。築地本願寺の南側に位置し、東京メトロ日比谷線の築地駅から徒歩3分という好立地だが、江戸時代から続く町割りや長屋建築を受け継いだ住宅と、裏路地や小道が入り組んだ町並みで、倒壊や火災時に消防車が入って来られないなどの課題を抱えていたという。

建て替え以前は長屋建築の住宅が多く、路地裏の小道は細く、災害時の倒壊や延焼火災の恐れがあったという
建て替え以前は長屋建築の住宅が多く、路地裏の小道は細く、災害時の倒壊や延焼火災の恐れがあったという

 旭化成不動産レジデンスが提供する「都市共同化事業(等価交換)」は、土地の一部を譲渡してもらう代わりに建築費を負担せず新たな住まいを提供するという事業。今回のアトラス築地においてもこの仕組みを使うことで、個別での建て替えが難しいとされていた住宅密集地にマンションを建て、新たな住まいを用意した。

都市共同化事業(等価交換)の仕組み
都市共同化事業(等価交換)の仕組み

 地権者38名とは2016年3月に話し合いを開始。ところが2018年に中央区のマンション容積緩和政策の中止が発表されたことを受け、建物の規模が縮小されることを避けるため合意形成を加速。11月には全地権者との土地売買契約を完了した。その後、テナントの立ち退きや地権者退去などを経て、2019年6月に建設工事を開始し、2021年11月に完成を迎えた。話し合いの段階から約5年の月日を費やしているが「この事業にしては早い方」(旭化成不動産レジデンス 開発営業本部再開発営業部企画グループグループ長の和田悠氏)だという。

 地権者が住む36戸の住戸は、住んでいた住まいの広さなどに応じて提供されているとのこと。「分譲するマンションの居室とは広さが異なるほか、間取りもカスタマイズして提供する。外観から見ると窓の位置がずれるといったことも起こるが、その際はデザインを熟考することで、自然に見える形で作り上げていく」(和田氏)という。

マンション全体のデザインは「土地の記憶」を継承したものにしているとのこと。風除室にはガラスと古木を組み合わせたガラスアートを設置。古木は埋蔵文化財調査の際に発掘されたものを使用している
マンション全体のデザインは「土地の記憶」を継承したものにしているとのこと。風除室にはガラスと古木を組み合わせたガラスアートを設置。古木は埋蔵文化財調査の際に発掘されたものを使用している
エントランスには近くに流れる川をイメージしたデザインを採用
エントランスには近くに流れる川をイメージしたデザインを採用

 地権者にとっては、住んでいた土地にそのまま住み続けられる、新築マンションを原価で取得できる、相続対策ができる、借金なしで部屋が取得できる、分割処分が容易になるなどのメリットがあるが、路地の権利関係が難しいなどの課題もあったとのこと。権利関係の問題などを丹念に整理しなおし、関係者全員の同意書を得る一方、地権者宅を複数回に渡って訪ね、理解を得ることで、マンション建設までこぎつけたという。

 地権者は昭和十年代からこの場所に住むなど、土地自体に思い入れのある人も多かったというが、大正から昭和にかけて建設されたため、老朽化が進み、安全面で不安を抱えていた面もあったという。しかし長屋形式のため、単独ではどうすることもできなかったという声もあったという。

 旭化成不動産レジデンスでは、環状7号線沿いに、多くの木造密集地域を認識しており、こうしたエリアにおいても等価交換による建て替えを模索。「今まで培ってきた等価交換によるノウハウを使いながら有効な建て替えを推進していきたい。あくまでも基本は地権者の方と一緒に取り組んでいくこと。レジリエンス性の高い街づくりを進め、次の世代につなげていきたい」(旭化成不動産レジデンス 開発営業本部 営業推進部営業推進室長の籾井伸之氏)とした。

居室内。地権者が住む36戸の住戸は、住んでいた住まいの広さなどに応じて提供されているほか、間取りもカスタマイズしているという
居室内。地権者が住む36戸の住戸は、住んでいた住まいの広さなどに応じて提供されているほか、間取りもカスタマイズしているという

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