筆者の手首には今、最新の「Apple Watch」があるが、ときどきその存在を思い出さなくてはいけない。「Apple Watch Series 7」は、画面が大きくなり、見た目の魅力も増した。充電の速度もわずかに上がり、アプリのロードも速くなった。フリックすると、新しい文字盤もいくつか追加されているが、ところで、と考え込んでしまう。何か大きな変化はあったのだろうか、と。
確かに、変わった点はある。幾分は。だが、最新のApple Watchは、「Apple Watch Series 6」、あるいはそれ以前の「Apple Watch Series 5」のアイデアをそのまま丁寧に洗練させたという感じも拭えない。目玉と呼べるような新機軸がないのだ。今やApple Watchは、ウェアラブル技術の実験段階をクリアし、「iPhone」や「iPad」と同様にメインストリーム製品になったように感じられ、そうなると、これも宿命なのかもしれない。筆者から見ると、Apple Watchに今もなお進化の余地があるのは明白で、画面が大きく、充電も速くなったSeries 7でこそ、それはいっそう明らかになったように思う。
バッテリーと小型デバイスに関して限界があることは、いうまでもない。フィットネストラッカーの中には、1週間くらい持つものもあるが、その分、パフォーマンスや機能が犠牲になっている。高性能のスマートウォッチとなると、最大でも2日以上は持たないのが普通だ。とはいえ、Apple Watchのバッテリー持続時間は、およそ1日半のまましばらく変わっていない。バッテリー持続時間の向上はいつ実現するのだろうか。18時間強という持続時間が、常時オンのディスプレイ、画面の大型化、プロセッサーの高速化など、パフォーマンス面で有利にはたらいているのは確かだ。このバランスが傾いて、最近のiPhoneや「MacBook」で実現しているように、バッテリー持続時間が延びるのはいつのことなのか。
中には、毎日充電するのは気にならないという人もいる。だが、睡眠トラッカーとして使うときには、やはり大きな障害になる。Appleは、ひと晩の睡眠中持続させるには、午前中に素早く充電、あるいは夜間寝る前にフル充電しておくことを推奨している。だが、2日かそれ以上バッテリーを持たせるには、省電力のスリープモードか、他の何らかの方法が必要なのは明らかだろう。常時オンのディスプレイなどの機能を無効にすれば、持続時間を延ばす足しにはなるかもしれない。Apple Watchのバッテリーについて、進化が必要だという考えが以前より強くなった。
Appleの文字盤は、コレクションが豊富で、カスタマイズも可能だし、見た目もいい。だが、限定的でもある。Appleは、画面の大型化やプロセッサーの高速化に投資しているものの、文字盤ストアがないことでチャンスを逃している。筆者は、Apple Watch Series 7で大きくなった画面を見せつけられるような文字盤を探しては、新しい使い方をいろいろ試みているが、やはり限界を感じている。例えば、できるだけ多くの情報レイヤー(コンプリケーションと呼ばれている)を文字盤に盛り込んでみたいのだ。
Apple Watch Series 7で追加された新しい文字盤の1つ「モジュラーデュオ」では、対応しているアプリの豊富な情報を2列で表示できる。例えば、心拍数のグラフと天気などだが、こうした大型コンプリケーションを使えるアプリは多くない。筆者としては、小さいコンプリケーションをたくさん表示できるほうがいいし、レイアウトも好みで変えたい。画面に余裕ができたのだから、実現してもよさそうなのだが、完全にはなっていない。
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