富山県朝日町と博報堂は10月12日、デジタルトランスフォーメーション(DX)に関する課題を相互に連携、協力する協定の締結を発表した。
両者が検討を進めていた交通、健康、商業領域での取り組みを順次開始する。朝日町における生活や地域コミュニティの活性化に寄与するサービスの構築と、自治体住民の利便性向上を目指す。
朝日町は、2020年8月から博報堂や自動車メーカーのスズキらとともに、マイカー乗り合い公共交通サービス「ノッカルあさひまち」を運行している。地域住民がどこかに出かけるついでにドライバーとなり、同じ地域の住民を送迎するというサービスだ。
博報堂がサービスやシステム設計などを担当し、スズキが軽自動車を提供。そのほか朝日町の交通事業者である黒東自動車商会、スズキ自販富山、ヴァル研究所らが協力する、MaaSの実証実験という位置づけでスタートした。
当初は町の職員が運転して地域住民を無料送迎していたが、マイカーを保有する地域住民ドライバーの導入、サービス有料化など、改良を重ねたという。
9月30日まで実施した実証実験では、会員数164人、ドライバー数22人、延べ利用人数799人という結果となり、一定の需要が見込めるとともに公共交通としてのサービス水準が確保できると判断。朝日町の正式な公共交通サービスとして、10月1日から本格運行している。
前日午後5時までに予約、5分前までに停留所にいけば、あさひまちバスの回数券で乗車が可能。乗車希望者の多くが高齢のため、電話からの予約も受け付けている。利便性向上と運用効率化を図るべく、2021年内には博報堂DYグループが開発するMaaSシステムへ切り替える予定だ。
朝日町と博報堂は、交通分野以外へのデジタル活用の検討も進めている。例えば、生活習慣病や認知症予防に向けたデータの取得と管理や、ヘルスケアサービスの提供とその最適化といった健康分野、デジタルポイントサービスや地域内の情報発信プラットフォームの導入といった商業分野への活用などが視野にあるという。
2022年1月には、地域ポイントとチャット「LINE」を活用した地域住民向けMaaSの実証実験を開始する。交通に限らず健康や商業、その他行政活動の活性化を目指すもので、マイナンバーカード普及への貢献も期待されている。
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