世界で最古参の量子コンピューティング企業D-Wave Systemsが、製品ロードマップを一新し、GoogleやHoneywell、IBM、IonQといった後発の競合企業が進めてきたアプローチも採用する。
1999年に創設されたD-Waveは、サプライチェーンの最適化といった特定の計算に適した特化型の量子計算装置である量子アニーリング(量子焼きなまし法)マシンを開発してきた。しかし、同社は米国時間10月5日、競合他社が支持するより汎用的なゲートモデルの量子コンピューターを開発する計画を発表した。
量子アニーリングマシンは、量子物理学の特性、つまり原子のような極小粒子を支配する規則を利用する。一方、汎用の量子コンピューターは、相互に接続された量子ビットと呼ばれるデータ処理ユニットの集合体に慎重な調整を加えることで、より広範なタスクに対応できる。
D-Waveは声明の中で、「これは、材料科学や薬学研究のような分野で特に有用だ」と述べた。
量子コンピューターは大きく前進したが、期待に応えるにはまだ何年もかかる。多くの企業がこの分野に数十億ドルもの研究費を投じており、材料科学に革命をもたらすコンピューティングの新領域として位置づけ、また従来のコンピューターの処理能力を超える他のタスクにも応用できると考えている。
D-Waveは、量子アニーリングマシンについても販売を継続する。同社は5日、「Advantage」量子システムをより高性能にした「Advantage 2」を2023年~2024年に発売する計画を発表した。汎用量子コンピューターの発売予定は明らかにしていない。
同社の汎用量子コンピューターには、量子コンピューターの主要な技術である「誤り訂正」が搭載される予定だ。大半の競合企業も開発に力を入れている誤り訂正は、現在の設計では量子ビットが外部からの影響を受けやすいことから、大きな課題となっている。
D-Waveの計画には、60個の量子ビットを、誤り訂正技術によって1つの「論理的」量子ビットにまとめるシステムも含まれる。その後、4つの論理量子ビットを伴う1000量子ビットのシステムを開発する予定だとしている。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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