パナソニック、東京2020大会の「現場」を全力支援--1年延期、日々変わる状況乗り越え

 パナソニック コネクティッドソリューションズ社とパナソニック システムソリューションズ ジャパンは10月5日、9月に終了した東京2020オリンピック・パラリンピック大会で実施したパナソニックのサポート体制について紹介した。

 パナソニックは、オリンピックへ29年以上、過去13大会にて協賛、貢献をしてきたオリンピックのTOP(The Olympic Partner)スポンサー。1992年のバルセロナ大会で、デジタル放送機材を納入して以降、1998年の長野大会では「RAMSA」スピーカー、2008年の北京大会ではディスプレイ、ロンドン大会では開閉会式におけるプロジェクターと、最新の映像、音響機器を納入し、大会運営をサポートしてきた。

パナソニックでは、最新の映像、音響機器を納入し、大会運営をサポートしてきた
パナソニックでは、最新の映像、音響機器を納入し、大会運営をサポートしてきた

 今回の東京2020大会では、過去大会において設置された「オリンピックパーク」がなく、競技会場や選手村が各地に点在、会場と生活圏がバッティングする位置にあるなどの特徴があったほか、新型コロナウイルス感染拡大防止を受け、会期が1年延期。「一部組み上げていたものを解体し、再度組み直すなどの手間がかかった。その後も有観客か、無観客かなど、状況が日々変わり、関係部門と連携しながら柔軟性をもって設計、運営を変えていった」(パナソニック コネクティッドソリューションズ社メディアエンターテインメント事業部事業開発センター所長の松原洋二郎氏)と、コロナ禍ならではの苦労もあったという。

パナソニック コネクティッドソリューションズ社メディアエンターテインメント事業部事業開発センター所長の松原洋二郎氏
パナソニック コネクティッドソリューションズ社メディアエンターテインメント事業部事業開発センター所長の松原洋二郎氏

 サポート体制の詳細が明らかにされたのは映像・音響機器ソリューション、セキュリティ、パソコンの3つ。映像・音響機器ソリューションでは、東京2020大会が初となる4K/HDのサイマル放送を実施したほか、過去最多となる33競技、339種目を実施し、総コンテンツ数はリオ大会比1.3倍、時間にして約9500時間にのぼった。

4Kリモートカメラを使い遠隔操作

 パナソニックでは、4Kカメラ、4Kリモートカメラなど、過去最大となる約180台のカメラを導入。中でも現場にカメラマンを配置せず、遠隔から操作するリモートカメラは高所など、従来とは異なる場所からの撮影に対応でき、決定的瞬間が収められたという。

 松原氏は「カメラの画質調整もリモートででき、東京大会ならではの美しく迫力ある映像を、コロナ禍における効率的なオペレーションと両立しながら届けられた」と話した。

 また、リオ大会で約110台を導入したプロジェクターは、今回、5万ルーメン(リオ大会は2万ルーメン)のモデルを採用することで約60台へと台数を削減し、コンパクトと省システム化を推進。松原氏は「リハーサルから本番まで4カ月に渡る安定運用を求められたが、万全の体制でトラブルなく成功できたことは大変うれしい」とした。

4Kスタジオカメラ
4Kスタジオカメラ

広い海辺での監視には気球にカメラを取り付け

 セキュリティにおいては、AVセキュリティ機器を全48会場に配置し、警備本部での統合監視を実現したとのこと。約8000台のセキュリティカメラと約2500台のセンサーを組み合わせた常時監視を実施し、事案発生時にはウェアラブルカメラを装着した警備員が急行。全ての競技会場や選手村の映像は統合管理され大会警備本部で確認が可能だったという。

 パナソニック システムソリューションズ ジャパン 東京オリンピック・パラリンピック推進プロジェクトセキュリティ推進部門統括の前田雄司氏は「競技会場が海辺だったり、海辺と隣接していたりといったケースが多かったため、広範囲にわたる海辺での警備強化が必要だった。広い海辺での監視は、全体を俯瞰するため、気球にカメラを取り付け、上空から俯瞰して監視し、人的警備との連携を取った」とのこと。大会中は24時間体制で待機し、設計から施工、設置から保守までを一貫してサポートしたという。

会場に設置されたセキュリティカメラ
会場に設置されたセキュリティカメラ
パナソニック システムソリューションズ ジャパン 東京オリンピック・パラリンピック推進プロジェクトセキュリティ推進部門統括の前田雄司氏
パナソニック システムソリューションズ ジャパン 東京オリンピック・パラリンピック推進プロジェクトセキュリティ推進部門統括の前田雄司氏

準備期間含め4年に渡ってPCを保守、運用

 パソコンカテゴリーでは、「現場を支えたパソコン」として、競技場とスタッフ業務など約1万2000台のPCが大会運営をサポートしていたことを明らかにした。パナソニックでは、大会の3年前から準備を開始。大会開催までに納入するPCの機種が変わるとセキュリティ管理が複雑になりリソースも増加するため、「レッツノート」で1機種に絞り込み、3年間にわたって同機種を生産してきたという。

 PCは、競技情報管理や競技結果記録、入退出用のアクレディテーションカード発行業務など、50種類以上の用途に使われているとのこと。現場からは、移動や屋外使用が多いにもかかわらず、安定した品質で故障がほとんどなかったこと、4時間以上の長時間駆動ができ、4年経っても問題なく稼働できたこと、コロナ禍でもスムーズにテレワークへ移行ができたことなどが高く評価されたという。

レッツノートが大会の運営をサポート
レッツノートが大会の運営をサポート

 パナソニック コネクティッドソリューションズ社モバイルソリューションズ事業部マーケティングセンター課長の鈴木恭平氏は「2017年に準備を開始し、実に4年に渡ってサポートをしてきた。レッツノートは法人向けにも提供しているので、その保守やサポート体制のノウハウが生きたと思う」とコメントした。

パナソニック コネクティッドソリューションズ社モバイルソリューションズ事業部マーケティングセンター課長の鈴木恭平氏
パナソニック コネクティッドソリューションズ社モバイルソリューションズ事業部マーケティングセンター課長の鈴木恭平氏

 東京2020大会においては、メインプレスセンター(MPC)内に「パソコン修理工房」を設置し、レッツノートの修理、貸し出し、点検などに対応。日本へ来る途中に他社製PCが故障した海外の報道関係者へ、レッツノートを貸し出したり、取材の合間の数時間で修理をしたりと報道関係者をサポートしたという。

 パナソニック コネクティッドソリューションズ社副社長/メディアエンターテインメント事業部事業部長の貴志俊法氏は「パナソニックでは、技術力と現場力を持って、東京2020大会を支えた。これは、さまざまな現場でのお客様の経営課題、社会課題の解決取り組む『現場プロセスイノベーション』をベースに取り組んできたからこそ。今後も現場での社会課題解決を通じてサステナブルな未来を作っていきたいとした。

パナソニック コネクティッドソリューションズ社副社長/メディアエンターテインメント事業部事業部長の貴志俊法氏
パナソニック コネクティッドソリューションズ社副社長/メディアエンターテインメント事業部事業部長の貴志俊法氏

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