新型コロナウイルス関連

シャープ、液晶テレビの技術で新型コロナウイルスを不活化--蛾の目構造模した「モスアイ技術」

 シャープディスプレイテクノロジーは、奈良県立医科大学 医学部微生物感染症学講座教授の矢野寿一氏、准教授の中野竜一氏の研究グループ、MBTコンソーシアム協力のもと、独自の「モスアイ技術」が、付着した新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の不活化に高い効果を発揮することを実証したと発表した。10分間に99.675%の付着新型コロナウイルスを不活化する効果を実証できたとしている。

奈良県立医科大学での実験風景(左)とモスアイ構造の電子顕微鏡写真(右)
奈良県立医科大学での実験風景(左)とモスアイ構造の電子顕微鏡写真(右)

 モスアイ技術は、フィルムの表面に施すことで「低反射」や「高防曇性」を発現させる技術。液晶パネルで培った特殊加工として開発してきた。フィルム表面に微細な凹凸処理を施したモスアイ構造により、外光の屈折率を連続的に変化させ表面反射率を大幅に低減するもので、「蛾の目」の構造を模して作られた。

 共同研究では、独自の樹脂材料の表面にモスアイ構造を形成したフィルム上の感染価(感染力をもつウイルス量)が、参照試料として用いたモスアイ加工を施していないフィルム上の感染価に対して、10分間で99.675%、30分間で99.968%減少することを実証したとのこと。また、モスアイ構造を形成したフィルムの表面をアルコールで100回清掃した後においても、30分経過時点で、参照試料に対して感染価は99.959%減少することが認められ、高い耐久性を確認している。なお、浮遊するウイルスへの効果、人体への影響についての検証は実施していない。

 奈良県立医科大学 医学部微生物感染症学講座教授の矢野寿一氏は「独自の樹脂材料でモスアイ構造を表面に形成したフィルムでは、表面に付着した新型コロナウイルスを不活化し、アルコール清掃後も不活化効果は持続することが判明した。今回の試験結果より、新型コロナウイルスによる接触感染防止に有効である可能性が考えられる」とコメントしている。

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