9月8日、朝日インタラクティブ主催の「不動産テック オンラインカンファレンス2021」において、セイノーホールディングス執行役員 ラストワンマイル推進チーム担当の河合秀治氏が登壇した。B2B幹線物流を手がける輸送会社のセイノーにおいて、もともとトラックドライバーからキャリアをスタートした河合氏は、ラストワンマイルの課題を解決する重要性に気づいたという。
河合氏は2011年、買い物弱者などの社会課題に着目。食料品のお届けや見守りなどのラストワンマイルサービスを提供するココネットを、社内ベンチャー企業として立ち上げた。現在は、複数の事業会社の役員も兼務し、外部パートナー企業との共創を推進して、「社会課題解決型ラストワンマイル」の構築を急いでいる。
講演では、河合氏が心血を注いできた4つの取り組みを紹介。具体的には、食品を注文当日に届ける買い物弱者対策の「ココネット」、宅配クライシス解消に挑む置き配の「LOCCO(ロッコ)」、遠隔医療の一翼を担う処方薬配送の「ARUU(アルー)」、過疎地域のQOL向上も見据えドローン配送を組み込んだ新スマート物流「SkyHub(スカイハブ)」について語った。モデレーターは本誌CNET Japan編集長の藤井涼がつとめた。
最初に河合氏は、物流業界の課題を説明。「運輸業界は旅客と物流に区分されるが、物流業界で働く人は約258万人で、まだまだ労働集約型の産業である。なかでも、我々が属するトラック運送事業では、事業者数6万2000のうち中小企業率が99.9%で、軽自動車では個人事業主も非常に多い」(河合氏)。
このような物流業界で、「営業用トラックの積載効率40%」という実情は、大きな課題になっている。物流業界は人手不足だといわれて久しいが、実はほとんど空気を載せて走っているケースも多い。国土交通省が主導して物流総合効率化法が定められ、業界全体としても共同配送やモーダルシフトに取り組んでいるものの、スピード感が上がらないのが現状という。
そしてそこに追い討ちをかけているのが、宅配便に対するニーズの向上。コロナ禍の影響もあって、全産業におけるEC化率は最新数値では約8%に上昇しているという。河合氏は、アフターコロナにおけるEC化率も不可逆的で、今後も高まっていくと予測している。
このような状況を踏まえつつ、セイノーは「ラストワンマイル」といわれる物流の最終工程において、新たなサービスを次々と打ち出してきた。河合氏は、「社会課題解決型ラストワンマイルという、具体的な取り組みを紹介する」と挨拶して、個人向け配送における4つの事例を紹介した。
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