新4K8K視聴機器1000万台を突破--東京2020大会も後押し、2024年には2500万台へ

 一般社団法人放送サービス高度化推進協会(A-PAB)は、8月末時点での新4K8K衛星放送の視聴可能台数が、累計で1002万6000台となり、1000万台を突破したことを発表した。同協会では、1000万台を「一里塚」と定め、東京オリンピック/パラリンピックの開催期間中までに、これを達成することを目指しており、その公約を達成した格好だ。

新4K8K衛星放送の視聴可能機器台数
新4K8K衛星放送の視聴可能機器台数

 A-PAB 理事の木村政孝氏は、「2018年12月に新4K8K衛星放送が開始されてから、2年9カ月(33カ月)、約1000日を経過したことで到達した。逆算すると、1台あたり10万円以上する製品が、毎日1万台ずつが家庭に設置されてきたことになる。この実績を評価してもらいたい」と述べた。

A-PAB 理事の木村政孝氏
A-PAB 理事の木村政孝氏

 A-PABによると、8月時点の累計出荷台数の内訳は、新チューナー内蔵テレビは697万1000台、外付け新チューナーが25万7000台、新チューナー内蔵録画機器が113万1000台、新チューナー内蔵セットトップボックスが166万7000台となった。

これまでの累計台数の推移
これまでの累計台数の推移

 木村理事は、「新チューナー内蔵テレビは、全体の7割を占めており、普及促進の屋台骨となる存在である。最近1年間では月平均27万台で推移している。2011年のアナログ放送終了時に購入されたテレビが10年を経過し、これが買い替え時期に入っていること、長期間使用するテレビを購入するならば新4K8K放送を視聴できるモデルを購入したい、もっと大画面にしたいといったニーズのほか、ステイホームや東京オリンピック/パラリンピックの視聴マインドも普及の後押しになった」とする。

 テレビの買い替えサイクルは9.7年。2008年から2011年までに6857万台のテレビが出荷されており、これがまさに買い替えのタイミングに入っている。また、40型以上のテレビが約7割を占めており、これも新チューナー内蔵テレビの販売増加につながった。

 また、現在、14社から新チューナー内蔵テレビが発売されており、バリエーシュンが豊富になり、低価格化も進展。有機ELテレビが全体の2割強を占めるなど、ユーザーの選択肢が増えたこともプラスに働いたとした。

 だが、2011年頃は1世帯あたりのテレビの所有台数は2.98台だったが、現在は1.9台と減っていること、購入意向調査をすると、テレビを購入するきっかけは、故障し使えなくなった時点とする人が多いが、テレビがなかなか故障しない実態があることも指摘した。

東京2020大会に合わせ、スポーツコンテンツに注目高まる

 一方、「外付け新チューナーは、8社が参入しているが、全体の3%程度に留まる。しかし、放送開始当初は、チューナーを搭載していない4K対応テレビの4K化に貢献した貴重な存在であった。新チューナー内蔵録画機器(4Kブルーレイレコーダー)は、全体の11%を占め、安定して毎月3万5000台程度で推移している。2Kに比べると出荷台数が少なく見えるが、昨今の4Kテレビでは、録画用ハードディスクを内蔵する比率が、かなり高まっていることが影響している。新チューナー内蔵セットトップボックスは、毎月安定して5万台程度の実績で推移し、全体の17%を占める。ケーブルテレビ事業者の実績からすれば、今後の拡大に期待できる」と総括した。

 なお、新チューナーが搭載されていない4K対応テレビは、これまでに640万台が出荷されていると試算。外付け新チューナーや録画機、セットトップボックスを接続している4K対応テレビが約300万台あり、現在、340万台の4K対応テレビが、4K視聴しないまま利用されていることになる。「残っている4K対応テレビの利用者は、2Kのアップコンバートによる視聴で満足している人が多い。今後は、4Kテレビへの切り替えを進める提案をしたい」とした。

 さらに、「待望の1000万台に到達した背景には、番組の魅力をPRするリーフレットや映像を、全国の販売事業者に1年に4回程度、継続的に配布したり、ホームページを通じた4K8Kの魅力を訴求したり、各地区での展示会を通じて、実機での魅力をPRするなど、A-PABの地道な活動も貢献している」と自己評価した。また、普及の初期段階では、4K8K推進キャラクターとして、女優の深田恭子さんを起用したことも、普及に貢献していると述べた。

 東京オリンピック/パラリンピックによるテレビの購入促進効果については、これまでとは異なる傾向が出ていることも示した。

 木村理事は、「オリンピックをはじめとした大型イベントに伴う需要は、開催2~3カ月前に集中的に生まれていた。だが、今回は、2020年6月以降、特別定額給付金をきっかけにした需要がスタートになり、202年7月前半まで需要が続いていた。この1年間は、前年同月比3~4割増で推移しており、長期間に渡って貢献した」と分析した。

 なお、東京オリンピックの4K8Kの放送時間は、BS4Kの民放5局合計で85時間58分、NHKではBS4Kが約220時間、BS8Kでは約210時間。東京パラリンピックでは、NHKがBS4KおよびBS8Kで、それぞれ約90時間のサイマル放送を行ったという。

 8Kの視聴者からは、「競技会場の特等席で見ているような臨場感があった」、「選手の表情や汗までくっきり見え、空気感が感じられた」、「バドミントンのシャトルの飛ぶコースがよく理解でき、競技への興味が高まった」といった声のほか、4K放送の視聴者からも、「卓球のボールの回転がよくわかった」、「水泳の水しぶきがリアルであった」という声があがっていたという。2Kと4Kを切り替えて視聴した人からは、「赤と青の表現力の違いに驚いた」という声が出ていたことも報告された。

 また、新4K8K衛星放送の開始当初は、映画や紀行ものが注目されていたが、東京オリンピック/パラリンピックにあわせて、スポーツなどに対する関心が増加。最近では、自民党総裁選での討論会で、議論を通じた追い込み方や追い込まれ方を、汗や表情を通じて理解しやすくなっているいう声も出ているという。

累計1000万台達成で放送局が新たなスタートラインに

 さらに、累計1000万台を達成したことで、「放送局が、新たな好循環のスタートラインに着くことができる」とも指摘した。

 「民放各局は、CMや有料契約の獲得が視野に入るようになり、ピュア4Kコンテンツが、これまでよりも増加することが期待できる。そして、4K放送の魅力を、いままで以上に、店頭で訴求しやすくなるという好循環が生まれる」としたほか、「世帯普及率は18%に達し、イノベータ理論では、イノベータ、アーリーアダプターを超えて、本格普及期と言われるアリーマジョリティの入口に立ったところに位置する」と述べた。

 なお、現在、ピュア4K番組の比率は、民放各局では20~30%に達しており、年末には50%に達することが想定されるという。

 今回の会見では、2024年7月に開催予定のパリのオリンピック/パラリンピックまでに、累計出荷台数で2500万台を達成する目標を新たに掲げた。

 「今後は、35カ月間で1500万台を普及させることになる。これまでは月平均31万台だったが、今後は月平均44万台。4割増加させる必要がある。達成するのは楽な道のりではない。だが、購入者が新たな4K8Kの番組と出会うことで、購入してよかったと思ってもらうことを信じ、A-PABは、普及活動に熱い思いを傾けたい」と述べ、「12月1日には、新4K8K衛星放送の開始から3年を迎える。その際に、2500万台を絶対やるという道筋を明確に示したい」と意欲をみせた。

 会見で、A-PAB 理事長の相子宏之氏は、「総務省の検討会で作成された4K8K推進のためのロードマップによると、2020年の目指す姿として、東京オリンピック/パラリンピックの競技の数多くの中継が、4K8Kで放送されており、4K8K放送が普及し、多くの視聴者が市販のテレビで4K8K番組を楽しんでいることが示されていた。新型コロナウイルスの感染拡大の影響から、開催は1年遅れとなったが、パラリンピック開催期間中に1000万台に到達したことは喜ばしい。実際、オリンピック競技の放送によって、4K放送へのリーチ数が2倍近くになったという。関係者の努力に敬意を表する。さらなる普及により、多くの方に視聴していただき、メディアとしての価値を高めていくことが重要である。普及促進を図り、2024年のパリオリンピック/パラリンピックの頃には2500万台の普及を目指すべく、さまざまな施策を検討したい」とした。

A-PAB 理事長の相子宏之氏
A-PAB 理事長の相子宏之氏

 メッセージを寄せた総務省大臣の武田良太氏は、「東京オリンピック/パラリンピックでは、アスリートの息づかいまで感じられる臨場感あふれる競技の模様を、4K8K放送により、身近で視聴する機会を持つことができたのではないか」としながら、「2020年7月末に500万台を突破してからの1年間で倍増していることを考えると、今後、さらに4K8K放送の普及が進む段階に向かうことが期待される。各放送事業者には、これまで以上に、4K8K放送の特徴を生かした魅力的なコンテンツの提供に取り組んでいただきたい。総務省は、受信環境の整備や周知、広報に取り組むことで、4K8K放送を盛り上げていく」と述べた。

総務大臣の武田良太氏
総務大臣の武田良太氏

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