製造業受発注のキャディが新規ランクイン--2021年8月の資金調達・評価額ランキング

 フォースタートアップスは、成長産業領域に特化した情報プラットフォーム「STARTUP DB」において、2021年1月から8月までを対象とした「国内スタートアップ資金調達額ランキング」を発表した。それによると、キャディ、データX、Spartyの3社が新たにランクインした。

 
 

 7位にランクインしたキャディは、製造業の受発注プラットフォーム「CADDi(キャディ)」を提供。製造業のバリューチェーン全体に潜む構造的な課題に対し、DXを推し進めている。8月には、シリーズBラウンドで計10社を引受先とする総額80億3000万円の第三者割当増資を実施。同調達を通じて、グローバルも含めた人材採用やCADDiの開発、新規事業への投資を進めていく方針だ。

 16位ランクインのデータXは、データマーケティングクラウドシステム「b→dash」を提供している。登記簿情報から、2021年7月に新たに約45億円の増資を確認した。さらなる事業拡大および、海外への展開を見据え、6月15日にフロムスクラッチから社名を変更している。

 b→dashは、企業が保有するユーザーデータ・広告データ・購買データなど、マーケティングプロセス上に存在するすべてのビジネスデータを、一元的に取得・統合・活用・分析するSaaS型データマーケティングソリューション。今後は、強みであるデータ統合技術、データ高速処理技術を競争力の源泉とし、さまざまな産業領域とエリアでの事業展開を予定しているという。

 18位のSpartyは、2017年7月の創業以降、パーソナライズを基軸としたD2Cブランドを展開。主に、パーソナライズヘアケア「MEDULLA」、パーソナライズスキンケア「HOTARU PERSONALIZED」、パーソナライズボディメイク「Waitless」の3ブランドを展開しており、8月時点で累計会員数は35万人以上に達している。

 同社は、JICベンチャー・グロース・インベストメンツが運営する、JICベンチャー・グロース・ファンド1号をリード投資家とし、アカツキ、丸井グループによる第三者割当増資と、みずほ銀行、りそな銀行、三菱UFJ銀行からの融資を合わせ、総額約41億円の資金調達を実施。今回調達した資金は主に、事業拡大へ向け2022年6月までに200名規模へ拡大するための採用強化や、マーケティングに充当する方針。グローバル展開も視野に入れながらサービス展開を加速させていく見通し。

 今回トップ20にランクインしている企業のうち、累計調達金額が100億円を超えている企業はTBM、Mobility Technologies、ヘイ、SmartHR、スマートニュース、Paidy、ispace、ネットプロテクションホールディングス、ディーカレット、アトナープ、データX、ユビタスの12社となった。設立5年以内のスタートアップは、キャディ、ネットプロテクションホールディングス、ディーカレット、SODA、menu、Spartyの6社。その内、5社が50億円以上を調達している。

 
 

評価額では「スリーダム」と「データX」が新規ランクイン

 同社では、9月1日時点での「国内スタートアップ評価額ランキング」も発表している。同ランキングは、登記簿情報に記載されている発行済みの顕在株、潜在株をもとに算出。また、子会社やINCJ主導で設立した企業は除外されている。それによると、TBMとヘイが順位を上げ、スリーダムとデータXが新規ランクインした。

 
 

 17位に新規ランクインしたスリーダムは、革新的なセパレータ(絶縁体)技術を核とした次世代電池の開発・提供するスタートアップ。以前と比べた際の株式取得価額の上昇を確認し、今回の評価額増加につながっている。18位のデータXは、8月にトランスコスモスと業務提携することに合意。SaaS型データマーケティングソリューション「b→dash」とECプラットフォーム「Shopify」を連携させ、EC運営者向けの一気通貫サービスの提供を発表している。

 トップ20企業の累計資金調達金額も発表している。それによると、5位のPaidyでは、登記簿情報から新たな株式発行を確認したという。同社は9月8日に、米国のEC決済サービス大手PayPalによる買収が発表されており、買収金額は3000億円となる見通し。今後、Paidyのブランドを保持しながら、PayPalの新サービス開発と日本での事業基盤強化に寄与していくという。

 
 

 8位のリキッドグループは、暗号資産取引所「FTX.COM」を運営するFTX Tradingから約132億円(1億2000万ドル)の資金調達を完了させ、業務提携などを含めた協議を開始している。同調達により、財務面の強化やサービス向上のための開発強化、アジア地域におけるリーダーシップ獲得を目指す。また、日本とシンガポールという重要な2市場において、引き続き法令に準拠した継続的なビジネス展開を進めるという。

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