Appleは米国時間8月26日、「App Store」の運営方法をめぐってDonald R. Cameron氏らが起こした集団訴訟で、原告の開発者らとの和解案に合意したことを明らかにした。アプリ審査プロセスに関する統計情報をまとめた年次レポートの発行や、年間売上が100万ドル(約1億1000万円)未満の米国内の開発元を支援する1億ドル(約110億円)の基金の設立を約束したほか、開発元とアプリ利用者とのメールを使ったやり取りに関するルールを確立した。
Appleは、開発者向けの基金を除き、和解案で示した約束がApp Store向けに「iOS」アプリを開発するすべての開発者に適用されると述べた。
Cameron氏らとの訴訟は「フォートナイト」の開発元Epic Gamesと係争中の訴訟とは別件だが、今回の和解案には対Epic訴訟を担当する判事の承認が必要となる。Appleに批判的な立場の人々の一部は、ほぼAppleの勝利だとして、この和解に失望したと述べている。譲歩の多くが、既存の計画を維持することや、常に実施されてきたわけではなかったApp Storeのルールを明確にすることにかかっているからだ。
アプリストアのルール改善を求める非営利団体「アプリの公平性のための連合(Coalition for App Fairness:CAF)」は声明を出し、その中でエグゼクティブディレクターのMeghan DiMuzio氏は次のように述べた。「この提案は、大小を問わずすべての開発者が直面している構造的かつ根本的な問題にまったく対処しておらず、アプリのエコシステムにおけるイノベーションと競争を損なうものだ」
CAFの創設メンバーであるEpic Gamesは、DiMuzio氏の声明以上のコメントを控えた。
同じくCAFの創設メンバーで、米国と欧州の当局に対してAppleとApp Storeを規制するよう迫っているSpotifyも、この合意を批判した。
Appleは和解案の中で、開発者がアプリおよびアプリ内課金の金額として設定できる選択肢の数を、以前の100未満から500に増やすことも明らかにした。また、Apple Storeの検索システムや、小規模企業向けの価格設定プログラムについて、「少なくとも今後3年間」は変更しないことも約束した。
和解案では、開発者がアプリ外の支払い方法に関する情報を電子メールなどでユーザーに連絡することを認めている。ただし、開発者がアプリ内に情報を追加して、App Store外でのより安価なサブスクリプションやアイテム購入方法を案内することは認められない。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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