【事業開発の達人たち】P&GやFacebookを経て辿り着いた「デジタル時代のものづくり」--MOON-X・下村祐貴子氏 - (page 2)

永井公成(フィラメント)2021年09月03日 09時00分
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下村氏:私や、代表の長谷川(創業者の長谷川晋氏)はSK-II(P&Gプレステージ合同会社が販売する30代以上の女性を中心に支持を集める化粧品ブランド)を担当していたことがあるので、スキンケア製品は絶対出したかったんです。肌につけたり口の中に入れたりするものってみなさん気にされますし、日本のものづくりがすごく生きるところだと思っているので、そういう意味でもスキンケアの製品は出したかったんです。コルマーさんは以前P&Gとヴィダルサスーンのトリートメントを作ってくださったことですでに知っていたことから一緒に作ることとなりました。


角氏:このヒノキの香りというのは、どこからの発想なんですか?

下村氏:それこそコルマーさんとの共創ですね。コルマーさんに「フケなどで悩んでいる方にはどういう成分がいいのでしょうか?」とお聞きすると、「殺菌成分があって爽やかな使い心地のこういう原料があります」といくつかご提案をくださるんです。その中で私たちのほうで現地に行って匂いを嗅いでみたりして、これはいけそうだと決めました。

角氏:なるほど。作ったものが本当に売れるかどうかを、元P&Gの広報をされていた下村さんや長谷川さんだからこそ目利きができるということなんですね。売り方のスペシャリストでもあるし。他にもありますか?

下村氏:女性のスキンケア「BITOKA」があります。これは立ち上げから全部作りました。このクリスタルクリームというのが私は気に入っています。油と水を乳化させると白くなるので、クリームは普通白いんです。でも、このクリスタルクリームは白い粒子が見えなくなるまで小さくすることによって、クリスタルになったというものです。これはコルマーさんが特許を持っていらっしゃる技術なんですね。それをご紹介いただいた時、「これはいい!」ということになって、製品化しました。

BITOKAウェブサイトより
BITOKAウェブサイトより

すでにある優れた技術を製品化、ブランドへ

角氏:なるほど。「技術は持っているんだけど売り方がわからない」ということがあったら、MOON-Xさんに相談したらブランドまで作ってくれる感じですか?

下村氏:そうですね。いまは自分たちでゼロイチで作っていますけど、たとえばこれからEC支援とか、作ってみたいものがある方のご相談にのるといった事業もしてもいいという話はしていました。

角氏:僕らは地方自治体といろいろつながりあるんですけど、地方にはいい素材や資源がたくさんあるんですよね。でも、その価値の展開の仕方に気づかないことも多くあります。外国人から見たほうが日本の良さがよく分かるという話もありますよね。だから技術力溢れるものづくりの会社でも、自分たちの価値に気づいていないところも多くある。そこで下村さんや僕らフィラメントが一緒に作っていけたら面白いと思います。

下村氏:そうですね。それこそ共創だと思います!

角氏:MOON-Xに「すごい技術なんだけど売り方が分からない」といったような相談をしていくと製品化につながって、ブランドにもなっていく。しかも、それで本当に売れるのかという部分も、テストマーケティングのためにまずはクラウドファンディングでやってみる。やってみたらどういう売り方、ブランディングの浸透のさせ方、マーケティングの仕方をしたら売れるかなどもはっきり分かってくるので、そのあとのマーケティング戦略にも生かせるみたいな感じですよね。

下村氏:おっしゃる通りです。

角氏:MOON-Xめっちゃすごいですね。飲料メーカーや食品メーカーは次々と新しいものを作っていかなくてはならないけれど、1回作るとなると流通などにも負担がかかる。そういった、なかなか博打が打てないようなところと一緒にやられるととても役立つと思います。下手に売れない製品を作ってしまうと環境負荷も高いでしょうし。


下村氏:そうなんですよね。それはもったいないですもんね。本当にその通りだと思います。

角氏:絶対にいろいろなところとMOON-Xやったほうがいいと思いましたもん。

下村氏:ありがとうございます。産学連携とか自治体とかは、これからすごくアリだなと思っています。それこそすごい資源を持っているけど情報発信能力がないというケースですね。クリエイティブもそうです。やっぱり製品を美しい写真で見せるのって重要じゃないですか。MOON-Xにはクリエイティブ部隊がフルタイムで3人いて、彼らが写真や動画を撮影しまくっているんですね。そういうことをやっていたりもします。

角氏:なるほど。MOON-Xで取り扱う製品のカテゴリはなんでもいけるんですか?

下村氏:製品カテゴリは、日本のものづくりで意義のあるものだったらなんでもいけますね。

角氏:なるほど。じゃあアレですね。地方創生とかの文脈にもだいぶフィット感ありますね。

下村氏:そう。やっぱりフィット感あると思います。

角氏:なるほど。下村さんのいまやっていることはP&GやFacebookでこれまでやられてきたことの積み重ねの上に成り立っているんだなという腹落ち感をもって聞きました。フィラメントとしてもMOON-Xと何か一緒に共創できたらうれしいです。ありがとうございました。

【本稿は、オープンイノベーションの力を信じて“新しいことへ挑戦”する人、企業を支援し、企業成長をさらに加速させるお手伝いをする企業「フィラメント」のCEOである角勝の企画、制作でお届けしています】

角 勝

株式会社フィラメント代表取締役CEO。

関西学院大学卒業後、1995年、大阪市に入庁。2012年から大阪市の共創スペース「大阪イノベーションハブ」の設立準備と企画運営を担当し、その発展に尽力。2015年、独立しフィラメントを設立。以降、新規事業開発支援のスペシャリストとして、主に大企業に対し事業アイデア創発から事業化まで幅広くサポートしている。様々な産業を横断する幅広い知見と人脈を武器に、オープンイノベーションを実践、追求している。自社では以前よりリモートワークを積極活用し、設備面だけでなく心理面も重視した働き方を推進中。

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