製造業向けの受発注プラットフォーム「CADDi(キャディ)」を運営するキャディは8月24日、総額80.3億円の資金を調達したことを発表した。既存投資家であるグロービス・キャピタル・パートナーズ、WiL、DCM Ventures、グローバル・ブレインに加えて、海外投資家のDST Globalのパートナー陣やArena Holdings、Minerva Growth Partners、Tybourne Capital Managementなど新たに6社を引受先としている。
今回の増資により、2017年11月の創業から同社の累計調達額は99.3億円となった。また、今回の調達に合わせて三井住友銀行、三菱UFJ銀行、みずほ銀行から25億円の追加融資枠も確保したことをあわせて発表した。
CADDiは、特注品の発注者と全国の加工会社をマッチングするプラットフォーム。産業機械メーカーやプラントメーカーから、板金や切削、製缶を主とする特注加工品一式の発注を受け、品質保証も含めた一貫生産を請け負うことが特徴だ。
仕組みとしては、発注者がCADDiに図面データをアップロードすると、自動で製造原価を計算して見積もりを提示。得意なパートナー加工工場に発注する。そして、完成した加工品を同社が品質チェックした上で、発注者に届ける。最短2時間での見積もりが可能なほか、全国どこでも最短5日納期で発送するという。独自の品質・納期管理体制によって、良品率は99.94%、納期遵守率は99.98%を実現しているとのこと。
キャディ代表取締役CEOである加藤勇志郎氏によれば、CADDiによって発注を最適化することで、利用する8割以上の発注者が5~10%のコスト減を実現しているという。また、発注者は同社を仲介して最適な加工工場に発注するため、その工場とやりとりする際に発生していた時間や手間も大幅に省けると説明する。製造業の受発注は下請け構造に依存しており、町工場の受注率は20%程度にとどまることから、CADDiを通じて町工場の受注率の向上にもつなげたいと話す。
新型コロナウイルスの影響や半導体需要増加などにより部品供給が逼迫する業界もある中、同社では、複数業界を横断して需給をリバランスできる仕組みを生かし、高品質な部品を最短で供給することで、製造業の調達課題の解消に寄与してきたという。その結果、直近の受注高は昨対比約6倍に成長。急激な案件増加に対応するため、東西の品質管理センターの増床(関東は2.8倍、関西は6.6倍)を7月までに完了したという。
今回調達した80億円という金額については、「われわれが目指している姿はグローバルで1兆円規模になること。(競合となる)どの会社をみても数千億円は調達しているので、当然必要な金額であり、今後に向けた第一歩」(加藤氏)と語り、グローバル展開に向けた人材採用なども積極的に進めるとしている。
同社のCTOである小橋昭文氏によれば、今回調達した資金は、(1)受発注の規模をより広げるためのCADDiの開発強化、(1)CADDiで蓄積された受発注データや検査データをもとに新たな価値や自動化につなげていく新規事業、の大きく2つに投資していくという。
1つ目のCADDiの開発強化については、既存のプロダクトの規模拡大に加えて、たとえば1社ごとに社内特有の材料コードがあったりする、製造業ならではの課題を、共通プロトコルなどを新たに設けることで解決したいと話す。
2つ目のデータ活用による新規事業では、たとえば画像解析などによって図面がどのように描かれているかを把握し、より最適な描き方を提案したり、加工会社に対して「ここにもっと設備投資したらいいのではないか」といった判断材料を与えられるような、データから導き出されるインサイトを届けていきたいとしている。
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