Facebookは、GIF作成、共有プラットフォームGIPHYの売却を求められる可能性がある。FacebookによるGIPHYの買収は、ソーシャルメディアやデジタル広告市場の競争を損なう恐れがあると懸念されている。
Facebookは2020年5月にGIPHYの買収を発表した。買収金額は4億ドル(約420億円)と報じられた。傘下のInstagramのチームにGIPHYを統合するとしていた。
英国の競争・市場庁(CMA)は現地時間8月12日、FacebookによるGIPHYの買収について調査し、競争上の懸念があるとの見解を示した。そのことが確認されれば、「Facebookに、買収を撤回し、GIPHYを完全に売却するよう求める可能性がある」としている。CMAの暫定的な調査結果は、Facebookによる買収が、さまざまな国で継続的に詳しい調査の対象となっていることを示しているようだ。
FacebookはCMAの暫定的な調査結果に異議を唱え、証拠で裏付けられているとは考えられないと述べた。同社は声明の中で、「われわれが示してきたように、この合併は、GIPHYと当社のサービスを利用する英国、そして世界中のユーザーと企業の利益を最優先する。引き続きCMAに協力し、この買収が競争を損なうという誤解に対処する」とした。
CMAはプレスリリースの中で、FacebookがGIPHYを傘下に置くことで、同社がほかのプラットフォームによるGIFへのアクセスを認めないようになる可能性があると指摘している。例えば、GIPHYの顧客であるTikTok、Snapchat、Twitterといった競合企業に、GIPHYのGIFにアクセスするために、さらなるユーザーデータを提供するよう求めるといったことが考えられるという。ユーザーはこのようなアニメーション画像を利用し、オンラインで感情を表現する。そのため、ソーシャルネットワークで高品質なGIFが使用できなければ、ユーザーがそれらのサイトをどう利用するか、ほかのプラットフォームに乗り換えるかどうかといったことに影響が生じる可能性がある。
FacebookによるGIPHYの買収は、デジタル広告における競争を損なう恐れもあるとCMAは指摘する。GIPHYは米国で有料広告を提供し、英国を含む他の国に広告サービスを拡大しようと計画していた。「このことは、広告市場に新たなプレーヤーをもたらし、Facebookを脅かす存在となる可能性があった。また、ソーシャルメディアサイトや広告主など、市場における他の企業によるさらなるイノベーションを促進する可能性もあった」とCMAは述べている。しかし、FacebookがGIPHYを買収することで、GIPHYの有料広告のパートナーシップは断ち切られた。
CMAは、最終調査結果をまとめる前に、利害関係者から意見を募る。期限は10月6日となる。CMA以外の競争当局も、GIPHYの買収について調査している。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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