シャープ戴会長、2022年3月でCEO退任を改めて強調--「次の世代にバトンをつなぐ」

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 シャープ 代表取締役会長兼CEOの戴正呉氏は8月12日、「環境変化に柔軟かつ迅速に対応し、さらなる業績向上を目指そう」と題したCEOメッセージを、社内イントラネットを通じて発信した。

 2016年8月13日に、鴻海グループ傘下での新経営体制がスタートして、5年目の節目を迎えるのにあわせて配信したもので、メッセージの冒頭には、「明日、8月13日で、新体制が発足して丸5年を迎える。現在、日本では、多くの社員が夏季休暇中だが、大切な節目の日を迎えるにあたって、CEOメッセージを発信する」と、今回のCEOメッセージの意図を説明。さらに、戴会長兼CEO自らがまもなく70歳を迎えることを示しながら、2022年3月に、CEOを退任する意向を、メッセージのなかで改めて強調した。

 戴会長兼CEOは、「シャープは、この5年間、大阪・西田辺の本社ビル買い戻しに始まり、事業変革による事業の質の向上、日本・ASEAN・中国・欧州・米州の5地域を中心としたグローバル事業拡大、抜本的構造改革によるコスト構造の改善、ブランド企業としての事業推進体制の構築、きめ細かな経営管理の浸透、社員一人ひとりのマインドの向上など、さまざまな観点から大きく様変わりし、この結果、東証一部復帰や業績の大幅改善を果たすことができた」と振り返り、「社員が、この5年間、シャープの次の100年に向けて懸命に努力し続けてくれたお陰である。心から感謝する。本当にありがとうございます」と、社員にお礼を述べたほか、「2年前から、2022年3月までに退任する意向を述べてきたが、この思いは変わっていない。現在、シャープの将来を託せる次期CEOを社内外から探している。来年の株主総会までに後継者を決定し、私は退任したい」と述べた。

 今回のCEOメッセージでは、まず、8月5日に発表した2021年度第1四半期決算について触れた。

 「第1四半期業績は、半導体隘路(あいろ)や原材料価格の高騰、物流コストの増加など、厳しい事業環境となったが、ブランド事業、デバイス事業ともに堅調に推移。売上高は前年同期比18.9%増、営業利益は1.9倍、最終利益は2.6倍と、大幅伸長となった。加えて、有利子負債の削減や自己資本比率の改善など、財務基盤の強化も着実に進展している」と総括。

 セグメント別では、「スマートライフ」が白物家電の高付加価値化が進展し、国内外ともに大きく伸長し、「8Kエコシステム」はMFP事業が順調に回復するとともに高付加価値テレビの販売が拡大。「ディスプレイデバイス」は車載向けの回復に加え、PCおよびタブレット向けディスプレイが堅調に推移するなど、中型ディスプレイの販売が伸長し、これらブランド事業の3つのセグメント合計で増収増益になったことを報告。また、デバイス事業では、「エレクトロニックデバイス」は堅調な顧客需要を取り込むものの、原材料価格の高騰などの影響を受けて増収減益。だが、2020年度第4四半期の赤字から黒字に転換したと説明。「ICT」は半導体隘路などの影響もあり減収減益となったが、通信、パソコン事業ともに黒字を確保したことを示した。

 「説明会の出席者からは、『第1四半期の最終利益が過去4番目との説明を含め、シャープの回復力を十分に感じることができる内容だった』、『半導体不足などの厳しい事業環境のなか、原価率や販管費率が改善されており、コスト管理が徹底されていることが見て取れた』といったコメントがある一方、『第1四半期の業績は評価できるが、半導体不足をはじめとした今後の外部環境の不透明感は強く、通期計画達成のハードルは上がっている印象』など、先行きについて厳しい見方もあった」と語り、「半導体不足の問題については、主要生産地である台湾において、私自らが半導体メーカーとの折衝を進めている。一方、各事業本部では、代替品への切り替えや技術/設計VE(Value Engineering)、適切なPSI管理などに取り組んでいる。予断は許さないものの、不透明感は緩和される方向へと向かいつつある」との見方を示した。

 しかし、「世界各国で新型コロナウイルスが、再び猛威を振るうなど、依然として厳しい事業環境にある。環境変化を機敏に察知するとともに、柔軟かつ迅速に対応し、先手先手で対策を講じるなど、社員全員の創意工夫でこの難局を乗り越え、さらなる業績向上を目指そう」と呼びかけた。

机を並べ働いたSBPJ社長周氏の功績をたたえる

 また、ScienBiziP Japan(サイエンビジップジャパン=SBPJ)の周延鵬(Y.P. Jou)氏が、8月3日に逝去したことについても触れた。

周延鵬氏
周延鵬氏

 SBPJは、シャープの知的財産部門が分社化して。2016年3月に設立した企業で、約200人が在籍。知的財産権業務を担当している。周氏は、2018年に同社社長に就任した。

 「周さんは、法務や知財のスペシャリストであり、私とは鴻海入社時の同期で、当時は机も隣同士であるなど、古くからの友人。シャープの構造改革にあたっては、月額1円の報酬でSBPJ社長を務めていただき、私の法務顧問としての役割も担っていただいた。そして、多くの成果をシャープにもたらしてくれた」と振り返り、「法務顧問としては、欧州および米州におけるシャープブランドの取り戻しや、大手企業との訴訟などに尽力していただくとともに、M&Aの推進、重要取引先との契約の見直し、契約審査や締結プロセスの見直しや国内外子会社への徹底、社内のコンプライアンス施策の推進など、法務改革を進める上で様々な観点からアドバイスを頂戴した。また、SBPJ社長としては、日本に偏重していたシャープの特許ポートフォリオをグローバルスタンダードへと変革するとともに、他社への知財ライセンス活動の積極展開、外部からの特許攻撃をはじめとした知財リスクの最小化、ビッグデータを活用した知財品質の向上、業務の内製化による社外流出経費の削減などを先頭に立って推進していただいた」と、シャープにおける大きな貢献についても触れた。

 戴会長兼CEOが、周氏について、詳しく言及したのは、今回が初めてのことだ。「周さんの逝去は、私にとって痛恨の極みであり、シャープにとっても大きな損失だと考えている。シャープ社員一同、周さんのこれまでの多大な功績に深く感謝申し上げるとともに、周さんが築いた多くの成果を引き継ぎ、これからのシャープのさらなる発展につなげていこう」として、周氏を偲んだ。

 CEOメッセージの最後に戴会長兼CEOは、「私は、この5年間、シャープの経営改善に全力で取り組み、気づけば、まもなく70歳を迎える。2年前から、さまざまなメディアの取材で、2022年3月までに退任する意向を述べてきたが、この思いは変わっておらず、現在、シャープの将来を託せる次期CEOを社内外から探している。2022年の株主総会までに後継者を決定し、私は退任したいと考えている」とした。

 そして、「最後の1年となるこの2021年度の業績目標をしっかりとやり遂げ、次の世代にバトンをつなぐことが私の使命であり、何としてもやり切る覚悟である。社員には、引き続き、全社一丸となって業績向上に取り組んでくれることを期待している。連休明け以降も通期業績目標の必達に向け、ともにがんばろう」と述べた。

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