2つの目が見つめ返してくるような昔のホログラフィックメガネを覚えているだろうか。実際にかけてみると、その姿は異様だ。Facebookの仮想現実(VR)/拡張現実(AR)事業部門Facebook Reality Labs(FRL)Researchが、世界最大規模のCGカンファレンスSIGGRAPH 2021で発表する最新の実験的プロジェクトも、そのようなものにしか見えない。
そのコンセプトは「リバースパススルーVR」と呼ばれるもので、研究者のNathan Matsuda氏が開発した。この実験的ヘッドセットは、ヘッドギアの外側に3Dライトフィールドディスプレイが搭載されており、装着者の目の様子とされるものがグラスレス3Dで映し出される。顔の前に「iPad」が取り付けられていて、そのiPadに表示される目の映像が周囲を見渡しているような感じだ。ただし、その目は3Dで表現されている。
Facebookによると、目的は「同じAR/VR体験に関わっているかどうかに関係なく、人々が共有する空間で『社会的共存』を維持できるかもしれない方法」を解明することだという。基本的にFacebookが解決しようとしているのは、VRヘッドセットを装着した人が周囲から遮断された奇妙な存在に見える問題だ。「Oculus Quest 2」を装着すると、周囲からは目隠しをされているように見えてしまう。
だが、奇妙なことに、装着者は必ずしも外界から遮断されているわけではない。「Oculus Quest 2」のパススルーカメラのおかげで、装着者は外を見ることができるが、装着者が見ていることを知る者は他にいない。
このコンセプトは、とても気持ち悪く、ノベルティー製品のようなものに見える。FRLでチーフサイエンティストを務めるMichael Abrash氏でさえ、疑念を抱いたことをFacebookのブログで認め、次のように述べている。「一種のばかげたアイデアで、ひいき目に見てもノベルティー製品だというのが、私の最初の反応だった。だが、新しいことに挑戦する自由がなければイノベーションは実現しないのだから、何をすべきか私が研究者に指示することはない。明らかに独創的で真に有望なアイデアだと分かったので、このやり方は間違っていない」
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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