ANA発、遠隔操作ロボを使った瞬間移動サービス「avatarin」発表--2021年秋に提供へ

山川晶之 (編集部)2021年07月15日 12時04分
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 ANAホールディングス発のスタートアップであるavatarinは7月15日、遠隔ロボットを使った世界初の瞬間移動サービス「avatarin」のベータ版を2021年秋に提供開始すると発表した。

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 avatarinは、遠隔操作できるアバターロボット「newme」を使ったバーチャル移動サービス。PCから、各遠隔地に設置されたロボットにアクセスし、遠隔操作しながら自由に動き回ることができる。マイクとスピーカーを内蔵し、ユーザー自身がその場にいるかのように、話したり歩き回ることができるという。avatarin代表取締役CEOの深堀昂氏は、同サービスを飛行機など従来の移動を拡張した、意識と存在感を伝送する新しい「モビリティ」と位置づける。

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 提供するプランは法人向けの「パブリックプラン」と「プライベートプラン」の2種類。税込で月額7万6780円のパブリックプランは、体験型商品の販売を目的としたもので、newmeとavatarinのプラットフォーム利用料が含まれる。プラットフォーム上で体験型商品を作成し、内蔵された決済機能を使うことで、幅広いユーザーに対して、有償の体験商品を提供できるという。

 もう一つのプライベートプランは、業務利用を目的としたもの。専用アカウントでログインすることで、会社や組織など限られたメンバー間で自由にnewmeを利用可能という。例えば、自社ショールームで顧客を案内する際に利用したり、エリア管理やフィールド業務などの活用が可能としている。

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まずはミュージアムから。ショッピング用途も想定

 同社では、まず水族館や美術館、ファクトリー見学といったミュージアムの鑑賞用途からスタートする。当初対応するのは4施設で、鳥取県倉吉の「円形劇場」、埼玉県深谷市の「渋沢栄一 青天を衝け 深谷大河ドラマ館」、神奈川県箱根町の「箱根ガラスの森美術館」、香川県高松市の「新屋島水族館」。今後は、利用できるミュージアムを順次追加するほか、百貨店や道の駅といったショッピング用途での利用も予定している。

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 利用方法としては、PCでavatarinの専用サイトから各ミュージアムのアバターにアクセス可能。アバター自体の操作はキーボードの十字キーで行い、カメラを上下に振ることもできる。ロボット側に障害物センサーが内蔵されており、障害物にぶつかることなく移動可能という。

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PCでアバターを操作している様子。移動する際は、床の状況を確認できるカメラモニターも表示される

 そのほか、現在進んでいる取り組みとして、JAXAと共同で、国際宇宙ステーションの日本棟「きぼう」に設置されたアバターに接続して、宇宙空間に“瞬間移動”できる「space avatar」、匠の技など技術の継承を目的とした「アバター技能伝承」、ANAが20億円を出資し、最先端のアバターロボット開発を競う「ANA AVATAR XPRIZE」、内閣府が主導する「ムーンショット型研究開発制度」に参加。2050年までに身体、脳、空間、時間の成約から開放された社会の実現を目指すとしている。

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 newmeは、avatarinが自社で設計しており、大分県を拠点とするデンケンの工場で量産するメイド・イン・ジャパンを実現した。ANA内部では、ロボットの開発部隊は持っていなかったものの、XPRIZEなどの活動を通してエンジニアのネットワークを構築。ハードウェアからソフトウェアまで完全自社で設計できる体制を構築したという。

 試作版のロボットからネジ一本レベルで手を加えており、走行性能や安全性の改善、ステレオカメラの搭載、稼働時間の増加など、ハードウェア面を全面改良している。その結果、5年ほどは問題なく使えるハードウェアスペックを謳っており、ヘッドマウントディスプレイを使ったより没入感のある移動体験なども検討している。ソフトウェア面では、設置された場所のネットワークの影響を最小限に抑えるべく、レイテンシを減らすための通信プロトコルも刷新した。

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2016年からスタートしたavatarinがコロナ禍で真価を発揮する

 avatarin代表取締役CEOの深堀昂氏は、「エアラインを利用しているのは世界人口のうちたった6%」とし、「体を移動させないと本当に移動できないか。そんなことはない。意識と存在感を伝送することで、別の空間に存在することができる。意識と存在感を伝送する新しい乗り物」と定義し、より幅広いユーザーに移動の体験を提供する。これまでは不可能だった、30分だけ海外旅行するといったことが可能なほか、身体的に外出が難しい人でも気軽に移動を楽しめるようになる。

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エアラインなどを利用しているのは世界人口の6%にしかすぎないという

 ただし、深堀氏は、あくまでも既存のモビリティを置き換えるものではないとする。アバターで気軽にさまざまな土地に訪れ、関係を深めていくことで、実際にその土地へ移動するきっかけにつながると考えているようだ。「持続可能性を考えると使い分けが人類の進化に必要。頻繁な移動はアバターを使い、プレミアムな旅行や信頼関係を構築するためのビジネスはリアルで移動できる」と、新しい移動の価値を与えることができるとしている。

 avatarin自体は2016年から開発をスタートしているが、新型コロナウイルスの影響で、非対面で“移動”できるサービスとして国内外からの問い合わせが増えている。深堀氏は、特に「個人からの問い合わせが増えた」と述べる。「孫の結婚式があるがアバターで参加できないか」といった相談や、自治体に貸し出したアバターを家族が使い、病院で患者を看取ったという事例も出ているという。「すでに、どういった用途で使えるかではなく、具体的に特定の用途で使いたいと個人から提案をいただく状況にある。世界中でマインドセットの変化が起きた」と、コロナ禍の影響の大きさを語った。

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