NTTドコモは7月8日、無人航空機(ドローン)向けの料金プラン「LTE上空利用プラン」の提供を開始したと発表した。同社によると、ドローンを用いて上空でモバイルネットワークを利用可能となる料金プランの提供は国内初になるという。
このプランは、ドローン本体に、同プラン対応のSIMカードを挿入もしくは、SIMカードを挿入したLTE通信端末をドローンに搭載することで、上空でのLTE通信(4G)が可能となるもの。月間データ容量120GB(受信時最大950Mbps:超過後は当月末まで送受信最大1Mbps)までを定額で利用でき、月額料金は税込4万9800円。対応エリアは、3G・5Gエリアを除いたLTEエリアとなる。
上空におけるモバイルネットワークの利用は、地上で利用する電波への干渉を避けるため、電波法による監理のもと、利用が限定的だった。しかし、官民協議会が提唱する「空の産業革命」の実現に向け、上空での送信電力制御や利用する周波数帯の限定などを条件に、2020年12月に上空におけるモバイルネットワーク利用を拡大する制度が整備された。
同社では既に、上空でのLTE通信端末の送信電力を最適化するネットワーク機能である「送信電力最適化機能」を開発・運用している。今回、上空で利用可能な周波数を限定する「周波数帯域制限(band制限)機能」についても開発。これらの機能を活用し、上空でのLTE通信を基地局から適切に制御することで、地上でモバイルネットワークを利用する端末への電波干渉が軽減可能になるという。
また、LTE通信モジュール内蔵型ドローンを活用した実証実験として、中北薬品、ICソリューションズ、エアロセンスの協力のもと、「LTEを活用した医薬品ドローン物流実証」を実施。片道10kmを往復する目視外飛行に成功している。これらの取り組みにより、今後は「上空でモバイルネットワークを利用するドローン(セルラードローン)」の活用が可能になることから、同料金プランを提供することになったという。
なお、これまでドローンは目視内での短距離飛行による上空からの撮影や録画データによる点検が一般的だった。しかし、同料金プランを契約し、LTE通信が可能なセルラードローンを利用することで、目視外での長距離飛行やリアルタイムのデータ伝送も可能となる。これにより、広範囲の農薬散布や生育監視、遠隔地への長距離物流、災害発生時における遠隔地のリアルタイム映像伝送など、さらに幅広いシーンでの活用をできるとしている。
加えて、同プランの契約者向けに、利用場所や日時、台数、高度などを事前に予約できる「LTE上空利用予約」もセットで提供する。事前予約することで、同一空域、同一時間に上空でのLTE通信の利用の集中を防げるため、過度な電波干渉が発生しないことを確認したうえで、セルラードローンを安心して利用できるという。
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