Andy Jassy氏がAmazonの次期最高経営責任者(CEO)に就任することをJeff Bezos氏が発表してから5カ月が過ぎ、ついにその時がやってきた。Bezos氏はCEO職を退任し、会長に就任した。Amazonは過去最高益を上げながらも、規制当局に厳しい監視の目を向けられている状態にある。
Amazon Web Services(AWS)のCEOとして既に辣腕(らつわん)を振るってきたJassy氏は、思慮深い雇用主、環境の管理人、良い企業市民であることを証明しようとする同社の顔になる。その目標に向けて同社は先週、従業員向けの行動指針のリストに、「Strive to be Earth’s Best Employer」(地球最高の雇用主を目指す)と「Success and Scale Bring Broad Responsibility」(成功と規模には広範な責任が伴う)という2つの新しい項目を追加した。
Amazonは、パンデミックにも支えられて、かつてないほどのペースで成長を遂げている。同社はこの1年間、パンデミックで自宅から買い物する消費者の急増する需要に対応するために、既に莫大な規模を誇る小売事業をさらに拡大させてきた。同社は、食品、飲料、ペット用品をオンラインで購入する消費者が増えたことによる恩恵を受けており、米国で実店舗の営業が再開してもこの傾向は変わらないと、Eコマースの業界観測筋はみている。また、Jassy氏が率いてきたクラウドコンピューティング部門は、市場シェアの3分の1を占めており、どのサービスをオンラインに維持するかについて、恐ろしいほどの権力を握っている。
このフレンドリーなAmazonというイメージの逆風となっているのが、継続している反トラスト法関連の調査、訴訟、法案だ。独自のオンラインマーケットプレイス上で他のブランドと競争できるという立場が、米連邦議員らの目に留まり、基本的にそれら事業部門を分割し、Amazonの競争的優位性をはぎ取ることを目的とした法案の提出につながった。
全米労働関係委員会(NLRB)も、Amazonに対するストライキを組織した従業員を、同社が違法に解雇または処罰したケースがあることが判明したことを受けて、その報復的慣行の調査を検討していると報じられている。Amazonは、アラバマ州の倉庫で労働組合結成に向けた動きが進行する中での同社の行為が、労働法に違反していたかどうかについて、NLRBの判断を待っている状態にもある。その結果次第では、労働組合結成をめぐる新たな投票が行われる可能性がある。全米トラック運転手組合(IBT)は、Amazonで従業員の力を築くことが、同組合の最優先事項だと発表している。
Bezos氏の後を引き継ぐJassy氏には、巨大企業を統括しながら、同社に向けられた監視の目に対処することが求められる。これまでは担当していなかった部門を指揮しつつ、いかにして各種調査に対処していくかが、同氏の今後の課題だ。同氏は矢面に立つことなく、Amazonのクラウドサービス事業を市場トップに押し上げ、同社の最も収益性の高い部門にした。しかし、規制当局や議会の追及を受けた経験はない。
同氏は今後、顔認証製品の開発や、サードパーティーベンダーが販売する製品の安全性、環境への影響、倉庫の従業員や配送員の待遇など、さまざまな問題をめぐる批判に直面することになる。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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