VRIコラム

日清食品 全国統一UFO対策模試のストーリー

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 企業が生活者とコミュニケーションしていくには、何よりも「ストーリー」が重要です。この場合の「ストーリー」とは、相手の感情を動かすエピソードや仕組みを指します。

 6月24日は「UFO(未確認飛行物体)の日」です。1947(昭和22)年、アメリカで初めてUFOが目撃されたことから制定されました。

 今から3年前の2018年6月、カップ焼そば「U.F.O.」を販売する日清食品は、「UFOの日」にあわせて「全国統一UFO対策模試」というWEBキャンペーンを実施しました。

 同年の2月27日、日本政府はUFOについて「存在を確認したことはなく、対応についても特段の見当を行っていない。」という国会答弁をし、その後閣議決定しました。

 一方でUFOの目撃情報は年々増え続けている。同じ名前を冠するブランドとしては「この危機的な状況を解消し、政府に変わって国民ひとりひとりにUFO対策を啓蒙する」というストーリーを元に企画されたというキャンペーンです。ふざけているようで大マジメなトーンが、いかにも日清食品らしいと言えるでしょう。

 対策模試の設問は全部で15問。月刊「ムー」が全面的に監修し、「触れても安全なUFOはどれ?」「UFOを発見した場合の通報先はどこ?」など、UFOの襲来時に身を守るために必要な知識を、設問に答えながら身につけることができるようになっています。

 また、本当にUFO対策は必要ないのかどうかという問題に対して国民の意思を問う、「UFO国民投票」も併せて開催されました。

 このサイトは、今でも残っていて、今でも受験することができます。

 実際に受けてみるとかなり難しいことがわかります。結果は「下の下」から「上の上」まで9段階のランクで表示されますが、一番多かったのが「下の上」だとか。私自身の結果もそうでした。

 このキャンペーン自体は、実施時にそこまで大きな反響はなかったかもしれません。しかし、3年たっても自社サイトのコンテンツとして残っているのは素晴らしい。そして内容も古びていません。UFOの日が近づくと検索から訪れる人も増えるでしょう。そして模試を受けると、なぜか焼そば「U.F.O.」が食べたくなる人も多いはず。そういう意味では、「U.F.O.」のブランディングに貢献していると言えます。

 ちなみに日清食品の「U.F.O.」は1976年に発売されました。そのネーミングは、現社長の安藤宏基氏が発案したものだそうです。「焼きそばは皿で食べるもの」という日本人の体にしみついた習性を大切にしたいという考えから、容器は丸い形になりました。

 しかし名前がなかなか決まりません。会議中、安藤氏がフタをふとフリスビーのように投げてみたところ、飛んでいる様子が当時ブームになっていたUFOに似ていたことから、「U.F.O.」というネーミングがひらめきました。

 最終的に「U(うまい)」「F(太い)」「O(大きい)」の意味を込めて名前を決定したといいます。商品の名前にもストーリーがありますね。

 このように、優れたコミュニケーションには必ずストーリーがあります。あなたの会社のコミュニケーションには、インタラクティブなストーリーがありますか?

◇ライタープロフィール
川上徹也(かわかみ てつや)

広告代理店勤務を経て、コピーライターとして独立。最近は広告制作に留まらず、「ストーリーブランディング」の第一人者として、様々な企業・団体のマーケティング・アドバイザーをつとめる。最新刊は『江戸式マーケ 400年前なのに最先端!』(文藝春秋)。

この記事はビデオリサーチインタラクティブのコラムからの転載です。

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