現在、消費者にとって、スマートフォンの5Gの最大の用途は、ゲームと高画質動画のストリーミングだ。例えば、「Google Duo」は、誰かがサムスンの「Galaxy」で5Gネットワークにアクセスしていると認識すると、動画の画質をフルHDに切り替える。これと同じ機能を備えるアプリは他にもあるが、これまでのところ、特に5Gを必要とする、または、5Gの高速接続を有効に活用する新機能を実際に取り入れているアプリは、それほど多くない。
「それでも、コネクテッドシティーや取り扱い方がわからないほどの大量のデータを生み出すあらゆるセンサー、あらゆるモノなどの重要な事物を勘定に入れると、5Gにとって有利な環境がどんどん進んでいくと信じている」。Creative StrategiesのアナリストのCarolina Milanesi氏は、そう述べている。「しかし、消費者とスマートフォンの観点からすると、5Gが必要な理由を実証するのは依然として難しい」
現在のところ、5Gが最も利用されているのは、産業分野だ。例えば、サムスンの工場のフロアでは、ロボットがある場所から別の場所に部品を移動するが、そのロボットを動かすのに5Gが使われている。
台湾のチップメーカーMediaTekでコーポレートマーケティング担当バイスプレジデントを務めるFinbarr Moynihan氏によると、大規模なマシン通信、遅延、信頼性に関する新しい標準が登場すれば、真に新しい応用技術が実現するだろうという。それは産業用途だけでなく、ARやVR、クラウドゲームといった分野にも当てはまる、とMoynihan氏は話す。
「5Gの最初の焦点はモバイルブロードバンドであり、より多くのモバイルデータをすべての人に届けることが非常に重視されていた」とMoynihan氏。しかし、今後はその焦点が広がるだけでなく、5G接続を利用するさまざまなデバイスも登場するだろう、と同氏は述べている。
5Gに関して、当初、ほとんどの消費者は大幅な速度の向上を体感できていない。5Gが世界中に展開される中で、4Gネットワークも改善されている。さらに、5Gの近未来的な用途のいくつかを可能にするミリ波は、米国では特定の地域でのみ提供されており、利用できる人が限られている。それでも、新型コロナウイルスが世界中に感染拡大しているにもかかわらず、5Gネットワークの拡張は急ピッチで進んでいる。
「われわれは、米国だけでなく世界中に5Gを広める業界として、途方もない進歩を遂げている」。Samsung Electronics Americaのネットワーク戦略、事業開発、およびマーケティング担当バイスプレジデントを務めるAlok Shah氏は、そう語った。Shah氏によると、現在、68カ国の162の事業者が5G商用サービスを提供しており、無数の企業が自社の工場やオフィスにプライベートネットワークを構築しているという。
「最初のネットワークが展開されてからの5年間で、ここまで到達できたのは、かなり驚異的なことだ」とShah氏。「そして、この先の数年も、同じ取り組みを続けていく」
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