Elon Musk氏が米国時間6月29日、「Mobile World Congress 2021」にオンラインで登場し、同氏が率いるベンチャー企業SpaceXの衛星ブロードバンドサービス「Starlink」が、8月から北極と南極を除く全世界で利用可能になるとの見通しを明らかにした。
Musk氏はStarlinkのサービスについて「現在約12カ国で提供されており、提供地域は毎月拡大している」と述べた。
この高速ブロードバンドサービスは、SpaceXが打ち上げた1800基を超える低軌道衛星で構成されている。Starlinkのアクティブユーザーは既に6万9000人を超えており、同サービスは急速に成長していると、Musk氏は述べた。
「このままいけば、ユーザー数は今後12カ月以内に数十万人を上回り、50万人を突破する可能性もある」とMusk氏は述べた。Starlinkのユーザー数は2月の時点で約1万人だったが、6月には7万人弱に達したという。
Musk氏は、この高速インターネットサービスへのSpaceXの投資額について、50億~100億ドル(約5500億~1兆1000億円)に上る可能性があるとの見積もりを明かした。同サービスの料金は、他のブロードバンドサービスに比べると決して安くはない。月額料金は99ドル(約1万1000円)で、加入者は必要な衛星受信アンテナ設備を499ドル(約5万5000円)で購入しなければならない。
その点についてMusk氏は、このサービスは万人向けではなく、インターネットにアクセスできない世界人口の3~5%を対象としたものと説明した。
また、SpaceXが同サービスの利用にかかるハードウェアを赤字で販売していることも明らかにした。ハードウェアは一式1300ドル(約14万4000円)近くするが、SpaceXはこれを499ドルでユーザーに販売しているという。
低高度軌道には、遅延が少ないという、他の衛星インターネットシステムに勝るメリットがある。遅延およびダウンロード速度は、インターネットサービスの提供に重要な要素であり、Starlinkはその遅延と速度から、5Gやファイバーが利用できない場合の有効な代替手段であるとMusk氏は述べた。
この技術進歩に支えられて、SpaceXは「バックホール」を提供するために世界中の無線事業者と既に提携を開始している。「バックホール」がなければ、接続セルラープロバイダーは、自社の基地局からインターネットまでのトラフィックのアグリゲーションを行わなければならない。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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