Appleは2020年、新型コロナウイルスのパンデミックが発生したことによる課題に対処する一方で、製造パートナーの労働環境は改善されたと報告した。Appleのサプライヤー責任に関する年次報告書の2021年版では、労働者の権利と人権、健康と安全、環境などのさまざまなトピックについて、進捗や取り組みなどが明らかにされている。
同社は、サプライヤーの行動規範に対する重大な違反は減少したと報告している。児童の労働に関するケースが見つかったとの言及はなかった。強制労働の事例もなかったようだ。Appleが報告した重大な違反の多くは、労働時間や労働データの改ざんに関するものだった。
Appleはこの1年間で、同社の行動規範が順守されるよう、53カ国でサプライヤー1121件の評価を実施した。また、サプライチェーン労働者5万7618人と面談を行い、この評価プロセスに参加した労働者が報復の対象となっていないことを確認したとしている。
報告書は113ページに及ぶ。サプライヤーの施設で児童の労働が行われていた事例が見つかったとの報告はなかったが、あるサプライヤーが体験学習プログラムで「学生労働者の分類を誤り、文書を偽造して規約違反を隠蔽しようとした」ことが分かったとしている。Appleはこのサプライヤーを指導監督の対象とし、問題が是正されるまでこの施設とのビジネスと停止したという。
報告書で、停止処分になったサプライヤーは明記されていない。しかし2020年11月、主要サプライヤーの1社である台湾のPegatronが、Appleのサプライチェーン規則に違反したことが分かったとして、Appleは同社への新規発注を凍結したと報じられた。労働基準に違反していることを隠すために書類を偽造し、労働者を正しく分類していなかったとされていた。
2020年の行動規範に対する深刻な違反の件数は9件で、2019年の17件、2017年の48件から大幅に減少している。9件のうちの7件は、労働時間または労働データの改ざんに関するものだった。全体では93%のサプライヤーが、Appleの労働時間規定を順守したという。サプライヤーは、週の労働時間を60時間までに制限しなければならないとされている。
またAppleは、規範に関連するリスクについて評価を受けたサプライヤー候補の8%がサプライチェーンへの参加を拒否されたことも明らかにした。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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