DX推進のために活用しているツールについては、「介護記録ツール(44.6%)」「介護請求ツール(30.4%)」のほか、オンライン上での従業員同士による意思疎通や情報共有、コミュニケーション内容のオンライン管理などの「コミュニケーションツール(26.2%)」の利用が多い。
身体介護業務においては、「センサー(26.2%)」の活用は進んでいる一方で、「介護ロボット」の活用は1割未満(6.5%)と、ツールによって現場での活用のしやすさに差が出ている。
規模別で分析すると、特に81人以上の規模の大きい事業所では、利用者のデータを元にした介護サービスの計画書の自動作成などの「ケアプラン作成ツール」や「センサー」などの活用が顕著で、DXが進む傾向にある。
DXに取り組みたい分野は、「介護記録業務」が33.3%でトップ。次いで、リハビリ、レクリエーション、メンタル面のケアなどの「その他、施設利用者の支援業務」が22.4%。食事、入浴、排泄介助など体に直接触れて行う「身体介護業務」が22.1%と僅差で3位となった。
1位の「介護記録業務」については、2021年度の介護報酬改定で新設された科学的介護推進体制加算において、「科学的介護情報システム(LIFE)」へとデータを提供することで介護報酬が上乗せされることが要因であると推察している。
81人〜100人の規模では39.4%、101人〜の規模では40.7%と約4割で、規模の大きい事業所では、全体と比較してその傾向が高いといえる。
介護業界が抱える二大課題である「人材不足」解消や、「人材定着」のためにDXを活用したいと答えた人は約6割(61.1%)だった。
これを事業所の種類別でみると、訪問介護で約8割(77.3%)がDX活用を望む結果となっている。訪問介護では、利用者の自宅でサービスを提供することから、従業員同士のコミュニケーションが図りづらいため人間関係が希薄化することも多く、通所介護や入所施設と比較して、人材不足がより深刻な課題となっているという。
DXを進めるうえで課題と感じることについては、「知識・ノウハウが無い(43.2%)」「予算がない(40.3%)」「費用対効果が低い・分かりにくい(31.7%)」が上位となった。
このことから、介護業界におけるDX推進には、介護従事者に対して最新のDX情報を正確かつ、分かりやすい内容で提供していくことが求められるとしている。
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