エバーブルーテクノロジーズは5月25日、2mクラスの帆船型ドローン(無人操船ヨット)「Type-A プロトタイプ」を活用し、逗子湾にて日没から夜間にかけて連続1時間の夜間航行に成功したと発表した。
今回の実験は、有人ではリスクの高い夜間航行を無人操船ヨットで行うことにより、これまで難しかった夜間の密漁対策や捜索作業、長時間の海洋調査などを想定。神奈川県逗子市の逗子海岸にて、連続1時間を無人で帆走した。具体的には、17時30分から18時00分の日没をはさみ、18時30分までの連続1時間を遠隔操縦と自動操縦を適宜切り換えながら無人帆走し、方向転換や着岸時については、補助モーター動力を併用したという。
また、FPV用カメラとスマートフォンのTV会議アプリ(Zoom)を利用し、リアルタイムに映像を伝送。遠隔操縦者と複数の場所からの遠隔モニタリングを実現した。風向・風速といった海況情報のテレメトリーやソナーによる水深データもロギングしているという。
同社によると、小型無人操船ヨットは、遭難者の捜索や長時間に渡る海洋調査でも役立つとしており、沖に流されてしまった要救助者の捜索を夜間に広範囲かつ、長時間できるのは、風力をダイレクトに推進力にかえる帆船ならではのメリットだと説明。また、帆船型ドローンは大きな帆を持ち、ライトアップすることで被視認性が高く、航行速度も低速なので他船からの発見回避も容易だという。
現状では連続5時間の稼働が可能だが、今後は大容量バッテリーや太陽光発電の併用などにより、24時間以上の稼働時間を目指す。長時間におよぶ航行でも、終了後はバーチャルアンカリング(自動で位置を保持する機能)することで流されることなく洋上待機が可能。これにより、夕方に航路設定、自動で夜間航行、朝明るくなってから回収という安全かつ、遠隔操縦者にとって負担の少ないワークフローを実現可能だという。
今回の実験成功を受け、本格的な導入に向けて量産型の設計を進めるほか、帆走性能がより高い高効率型ヨットを利用し、12時間連続稼働実験を2021年秋ごろ実施予定。現在開発中の5mクラスヨットを利用した、100kgの貨物輸送実験の実施も予定する。さらには、飛行型と帆船型ドローンのハイブリッドである「Type-P」の研究開発もシンガポール国立大学とともに進めているという。
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