中国の火星探査車「祝融」は米国時間5月14日、その足跡を火星の表面に刻み、中国は「赤い惑星」と呼ばれる火星への着陸を成功させた3番目の国となった。この野心的なミッションは、中国が他の惑星への着陸を目指す初めての試みだった。
2月から火星を周回していた火星探査機「天問1号」は14日午後、遮蔽されたカプセルを火星の地表面に向けて射出した。内部には着陸船の後部に固定された祝融が搭載されており、着陸の際には着陸船がパラシュートを開き、スラスターを噴射して減速した。
火星の表面で探査車を移動させた国としては、中国が米国に続き2番目。
「Deep Space Networkを介して探査車『Perseverance』の着陸映像を直ちに共有してきた米航空宇宙局(NASA)とは異なり、中国国家航天局(CNSA)からはほとんど報告を受けていない」と豪クイーンズランド工科大学の惑星科学者でPerseveranceのチームに所属するDavid Flannery氏は語った。
「中国の宇宙機関が最新情報を共有したがらないのは、ほぼ間違いなくミッションの失敗が中国の政治指導者にネガティブな影響をもたらすことを恐れてのことだろう」(同氏)
情報が不足しているため、天文の愛好家は地球に向けて送り返される無線信号を聞くことでミッションがどのように進んでいるのかを見極めようとした。
If this bending of the curve from #Tianwen1 was periapsis then it occurred at 2021-05-14 23:00:32.026 UTC. pic.twitter.com/dbOSTmZkWe
— Scott Tilley (@coastal8049) May 14, 2021
祝融は火星最大のクレーターの1つであるユートピア平原に着陸した。既に停止された火星探査機「バイキング2」も1976年にこの平原に着陸している。ユートピア平原は地下氷を貯蔵していると考えられており、かつては海に覆われていた可能性がある。かつて水があったなら、生命が存在していた可能性もある。祝融はNASAの探査車Perseveranceと同様、着陸した地域を探検し、過去に生命が存在した兆候を捜索する。
NASAの科学ミッション本部のThomas Zurbuchen副本部長は14日、「グローバルな科学コミュニティーと同じく、私も今回のミッションが人類の火星への理解に対してもたらすであろう重要な貢献を楽しみにしている」とツイートした。
過去10カ月の間、火星の探査をめぐる多くの動きがあった。火星と地球が近接する機会を利用して、天問1号を含む3機の宇宙船が2020年7月に火星へ打ち上げられた。宇宙から火星の大気を調査するアラブ首長国連邦の「HOPE」は2021年2月に火星の周回軌道に乗った。NASAのPerseveranceと小型ドローンヘリコプター「Ingenuity」は火星地表に到達し、かつて湖底であり、火星の生命が生息していたかもしれない土地に着陸した。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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