ユーザー間のやり取りが生ずるSNSやマルチユーザー型ゲームなどでは、他者から不快な言葉を投げかけられたりする。そのような場合、荒らし行為をしたユーザーのアカウントを停止して追い出すこともあれば、そのユーザーを刺激しないよう、該当ユーザー自身には分からないよう機能制限する“シャドウバン”処分を選ぶこともある。
Sony Interactive Entertainment America(SIEA)は、こうしたユーザー保護策をソーシャル機能付き仮想現実(VR)ゲームへ応用する技術を考案。この技術を米国特許商標庁(USPTO)へ出願したところ、米国時間5月4日に「SHADOW BANNING IN SOCIAL VR SETTING」(特許番号「US 10,994,209 B2」)として登録された。出願日は2017年11月27日、公開日は2019年5月30日(公開特許番号「US 2019/0160382 A1」)。
この特許は、SNS型VRゲームにおいて、荒らしユーザーのシャドウバンをどのように実行するか説明したもの。基本的には、該当ユーザーの不快とみなされる行為をスコア化し、基準スコアと比較することでシャドウバンするかどうか判断する。ただし、対象をSNS型VRゲームとし、スコア化や比較など一連の処理をゲーム用プロセッサーとサーバープロセッサーで分担する構成にすることで、特許の適応範囲を狭めている。
不快とみなされる行為としては、VR環境における不適切な発言やコメント、ジェスチャー、動きなどだという。具体的なシャドウバン措置としては、該当ユーザーをほかのユーザーから見えなくする。ほかにも、音声をほかのユーザーへ届かなくしたり、ほかのユーザーから認識できなくしたりするという対応も可能だ。
装置に音声や映像を取得するユニット、ユーザーの動きを捉えるユニットなどを取り付け、該当ユーザーの差別的な音声発言、不適切なハンドサインやジェスチャーを荒らし行為と判断するアイデアにも言及している。さらに、必要以上に近づいたり、不用意に接触したり、性的な動きをしたりすることも、荒らし行為と判断できる。該当ユーザー以外のユーザーの反応を判断に利用することも考えられる。
なお、特許とは、技術的アイデアの権利保護を目的とした公的文書である。登録されて成立しても、実際の製品やサービスで利用されるとは限らない。さらに、アイデアの存在を公知の事実にする目的で出願され、登録に至らず公開止まりになるものも少なくない。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス