オンラインライブの「解」を見つける--THECOOのライブ配信専用スタジオ「BLACKBOX3」に潜入 - (page 2)

オンラインライブの「最適解を見つけたい」

 平良氏は、2020年8月のインタビューでも紹介したとおり、THECOO創業前にドコモAOL、ソニー、グーグルなどを渡り歩いてきた経歴を持つ。今回、スタジオというハード作りにおいても、「ソフトウェア的に作っていく」ことを意識したという。

 「友人で仕事仲間でもある音楽プロデューサーの今井了介さんに相談して、音響、LED、照明、内装、スタジオ専門施工の5社でチームを組んで挑んできた。ハードの専門的なアドバイスをいただきつつ、僕らからも小さく始めてデータや反応を見ながら直していく、といったソフトウェア的な考え方をインプットさせていただいた」(平良氏)

 たとえば、楽屋の内装など後から変更できるところは最小限に、LEDのように後からでは拡張できないところは事前に考え抜いて、現時点で最高スペックのものを設置するという形で進めたという。

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 今後も、たとえばライブ視聴者のコメントをLEDに表示させる際のデザインやフォントを変えるなど、エンジニアと試行錯誤しながらBLACKBOX3という"プロダクト”を進化させていく構えだ。「それが、オンラインライブの最適解を見つけるということだと思う」と平良氏は話す。

 「BLACKBOX3は、最新テクノロジーで映像クリエイティブの可能性を無限に広げつつあるが、本流はそこではない。ユーザーが本当に求めているもの、本当に楽しいと思うことのために、手段であるテクノロジーを本来は使うべきなのに、手段のことばかりが話題になることには違和感がある。アーティストとファンの両方が喜ばないと意味がないので、そこはすごく難しく、まだ正解は分からないけれど、インターネット的なものだと思う。オープンで、民主的で、ボーダレスで、計測可能で、インタラクティブ……そういうところに、オンラインライブの“解”があるのではないか。クリエイターさんたちと一緒に、これを見つけていきたい」(平良氏)

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 BLACKBOX3のグランドオープンから約1カ月。先ほどご紹介した、いきものがかりのほかにも、FIVE NEW OLDのMV撮影、Creepy NutsのTikTokライブ、THE ORAL CIGARETTESの音楽ライブ、全日本プロレスの記者会見などですでに活用されており、今後もオンラインフェスを開催予定であるなど、稼働は着実に伸びている。

 平良氏は「稼働が増えればビジネスとしてまわっていくと考えてはいたが、一番嬉しいのはアーティストの皆さんが喜んでくれること。ぜひ遊びに来て、空間を体験してもらいたい」と思いを語った。

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