Kaizen Platformがコロナ禍に解決した「5つの課題」--2021年度は“営業のDX”に挑戦 - (page 2)

藤井涼 (編集部) 日沼諭史2021年05月07日 09時00分
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DXに必要なのは「第2創業」という考え方

——ところで、コロナ禍にDXを手探りで始めたものの、つまづいている企業も多いのではないかと思います。

 ものすごく多いと思いますね。コロナ前までは、DXがうまくいっていない理由は「現場が協力してくれないから」でした。ところがコロナ後は、「DXはやらなきゃいけない」というコンセンサスは社内全体で取れたものの、同床異夢というか、それぞれが考えているDXがずいぶん違っている。社内に「DX推進室」のような組織ができても、DXは結局全員で取り組まなければいけない活動なので、「誰かがDXしてくれるでしょ」と他人任せになっていてうまくいかないんです。

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 DXには大きく2つの方向性があると思っています。1つは業務プロセスをDXする話、もう1つは提供価値をDXする話です。業務プロセスの方は、日本の産業の構造的な問題ですが、属人化してることが壁になっているんですよね。海外は人がすぐに辞めるので、辞める前提でオペレーションが組まれていますが、日本は人材の流動性が低いので、“秘伝のタレ”みたいに業務の属人化がめちゃくちゃ進んでいる。

 ただ、属人化しているおかげで提供価値、つまりサービスレベルは高い。公共交通機関が時間通りに来るのは当たり前だし、荷物はちゃんと届く。そうするとお客様が選ぶポイントはサービスレベルではなくて価格になるんですよね。業務が属人化して提供価値がコモディティ化している、というのが循環して企業の文化・習慣が作られてしまっているので、DXしづらいわけです。

——DXに苦しんでいる企業に伝えたい、打開策やアドバイスはありますか。

 業務プロセスのDXについては、まず1個小さな枠組みで成功体験を作って、それを横展開していくことですね。たとえば、あるグループから始めるとか、ある機能から始めるとか。小さいところからDXしていって、うまくいったらそれを隣の部署にも広げていく。それで自分たちの会社全体をDXできたら、今度は取引先にも広げていくことで、全体的な生産性が上がってくことになると思います。

 もう1つの提供価値のDXに関しては「第2創業」がキーワードになると思っています。われわれのお客様には大企業や官公庁など、組織ができてから50年、100年経つような会社が多いんです。現在の事業はこれまで何十年もかけて、過去の成功体験を積み上げて成り立ってきたものなので、それをDXで変革しようとするのは大変なんですよね。しかし、もともとその事業を始めた人、企業の創業者は亡くなっていることも多い。

 ですので、そういうケースでよくお話ししているのは、「創業者の方がもし今も存命で、同じ志でビジネスを始めるとしたら、何をしているでしょうね」と。たとえば大手電機メーカーの人に「今のこのデジタルの時代に、もし新しく工場を作ることになったら創業者は何をするんだろう」とか。つまり「第2創業」です。今のデジタル社会に合った、その人がやりたかったことができれば、それがDXではないですかと伝えています。

 そういう聞き方をすると、アイデアがみなさんの中から出てきやすくなるんです。なぜなら、その会社に勤めている人たちは、創業者の思いが好きで入社したはずだから。自分が入社したときの動機に近いことなんですよね。今までやってきたことをそのまま拡大するのがDXじゃないんだ、ということに気付いてくれる。

——「第2創業」というのは、たしかに納得感がありますね。

 本当に大切なのは、DX以上に“自分たちは本当は何をやりたかったのか”ということをクリアにすること。DXのコンサルティングをしてきて、われわれも3年くらい前に気付いたのが、「こういうことをやった方がいいですよ」と提案しても、結局その会社で実行されないということ。そこで、ワークショップに変えたんです。一緒に考えましょうと。

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 そもそも答えはわれわれではなく、みなさんの会社の中にある。みなさんの方が絶対に正しい答えを出せるんだから、僕らは材料や問いを出すので、それについて自分たちで考えましょうと。そうやって伴走するやり方に変えたら、めちゃくちゃ進むようなったんですよね。

——2019年のインタビューでは「DXしなくてもいい会社がある」という話をされていました。今もそこは変わらないですか。

 全然変わってないですよ。ただ、今気をつけなければいけないのは、非対面・非接触でもビジネスが成立するかどうか、というところ。非対面・非接触はデジタルを使った方がやりやすいことは事実なので、DXした方がいい領域や範囲は以前より増えているのではないかなと思います。

2021年は「営業のDX」を3本目の柱に

——2020年度はコロナ禍によって変化した顧客のニーズに合わせて、Kaizen Platformの事業も最適化してきたわけですが、2021年度の事業戦略も聞かせてください。

 今期大きく取り組んでいきたいと思ってるのが、2020年の後半から始めているDXソリューション事業ですね。営業やカスタマーサクセス向けに、オンラインのセールスマーケティング活動を支援するデジタルツールを提供していく事業です。そのうちの1つが、「KAIZEN Sales」という営業資料を動画にするサービスで“営業のDX”を実現しようというものです。

 今まで営業スタッフが紙のカタログやパンフレットを持ち歩いていたところをタブレットに変えて、さらにカタログを単にPDF化するのではなく動画にする。顧客にはその動画を見せつつヒアリングもして、顧客から得た情報をクラウドに登録し、適切な商品をレコメンドしていく仕組みです。

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「KAIZEN Sales」

 たとえば、営業スタッフがタブレットで動画を流すと、その下に「非対面営業の強化に課題はありませんか」みたいな設問が表示されます。いくつかある回答候補から「アポが取れない」などのボタンをクリックすると、こういう解決策、こういうケーススタディがある、という動画が続いて流れるんです。

 営業スタッフ本人が同じことを説明しようとするとすごく時間がかかってしまいますが、動画だと簡単なんですよね。もっと言うと、1万人の営業先リストにこのツールのリンクを送って、回答が10%でも返ってくれば一気に1000人に営業できるのと同じです。なので、めちゃくちゃ生産性が上がります。

 提案活動をツールにするのではなく、ヒアリングする部分をツールにしたのが肝だと思っています。データは自動でSalesforceなどに連携して、どのお客様がどう考えているかがすぐにわかります。2020年7月から販売を開始して、すでにいろいろな企業に活用していただいているところです。

 あと今期は、非対面の商談をどうやって創出してあげられるか。さらにリモート営業をどうサポートするか。この2つがDXソリューション事業において大きなテーマになっていて、既存のサイト改善や動画の事業に続く3つ目の柱に据えたいと考えています。

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