実に7年ぶりの試みとして、Amazonの物流倉庫で働く従業員が、労働時間や賃金、労働条件についてより大きな発言権を得られる労働組合を結成するかどうかを決定しようとしている。Amazonの倉庫で労組結成の動きが投票まで持ち込まれることは少なく、投票に持ち込まれても労組結成に至らなかった。今回投票を行っているアラバマ州の従業員はそのようなパターンを打ち破り、米国のAmazon倉庫従業員による初の労組結成を実現するチャンスを手にしている。
アラバマ州バーミンガム郊外の小規模な工業都市ベッセマーで働く5800人の従業員は、1カ月以上前から労組結成をめぐる票を投じてきた。米国時間3月30日に開票が始まっており、歴史的なものとなるかもしれない投票結果は、早ければ今週中にも判明する。成功すれば、米国各地のAmazon倉庫で、労組結成に向けた取り組みが活発化するきっかけとなるかもしれない。
労組が実現するかどうかにかかわらず、投票自体が注目に値する。労組推進派は長年、Amazonが労組結成の動きに強い圧力をかけ、投票に至る前に押さえ込んだり、労働条件に抗議した従業員を尋問したりしていると語ってきた。さらに今回の投票が行われている米国南部は、歴史的に労組に否定的な土地柄とされており、労働者間の連帯を避けたい企業に好都合な地域とされてきた。
また投票により、倉庫従業員がコロナ禍で置かれている状況にも注目が集まっている。Amazonの倉庫従業員はエッセンシャルワーカーと見なされており、在宅勤務をするユーザーがトイレットペーパーなどの必需品を確保できるようにしているが、彼らはそのような恵まれた働き方はできない。新型コロナウイルスの感染リスクにさらされながら、長時間にわたってオンライン注文に対応しているのだ。その一方でAmazonは2020年に大きな利益を上げ、第4四半期の純売上高は前年比44%増の1256億ドル(約13兆8000億円)となった。
Amazonは、自社倉庫の労働条件をめぐる議論の矛先を変えようと、連邦最低賃金を自社の最低時給と同じ15ドル(約1600円)にすることを推進する広告を打ち、公式声明やメディア対応を通じて自社の各種手当や奨学制度を強調するなどしてきた。パンデミックが始まった際には、一時的に従業員の最低時給に2ドル上乗せしていた。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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